イベントレポート

XVL Solution World 2006 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

基調講演

ボデー設計における XVL 活用プロセスとその効果

トヨタ自動車株式会社
レクサスセンター レクサスボデー・電子設計部 部長

原田 淳一 氏

XVL DR の運用により、 まず XVL の自動干渉チェックを使った非常に効果的な問題点摘出が可能となった。

さらに、大規模データが扱える利点を活かして、大容量のためCADでは無理だったインパネ内でのワイヤハーネス最適配索検討、組み付け順序の検討、建付け検討、見栄え検討などと XVL 活用の範囲が広がっている。

それぞれの機能担当部署が違う場合、意外と簡単な問題でも解決に時間が掛かることがあったが、関係者が集まり XVL を見ることで、回りの状況を全員がはっきり認識して、対応策を比較的簡単に導き出すことができるようになった。

このように、確かに XVL というのはすばらしい道具だ。しかし、すばらしいがゆえに使い方を間違えてはいけないとも感じる。いわゆる諸刃の剣という部分もあるということだ。我々ユーザーが真剣にその使い方を考えていかなければならない。

XVL DR に代表される三次元の DR の仕方は、設計の完成度を高めるのに大変有効な手段だ。しかしそれはべつに基本設計を良くするものではない。そもそも図面での DR が主としてあるべきで、XVL はそれを補完すべきもののはずだ。

設計の心や設計者がその行動に馳せた思いは図面でしか表されない。3D 形状はその結果にしかすぎない。設計の基本部分、例えば設計の狙いや基準となる重要な寸法、成立の根拠などは図面でしっかり DR したうえで、仕上げに XVL で詳細部分を確認すべきだ。

だが最近、3D の方が分かりやすいために 3D に頼り過ぎ、逆に、設計者として最も重要な基本部分を軽んじるような風潮を感じ始めている。我々マネジメント層には、設計の基本、 ものづくりの基本をしっかりと若手設計者に伝えて行く責任がある。

XVL をうまく活用していくためには、図面 DR と XVL DR のメリットをうまく使い分け、双方の結果をコンバインさせて開発を進めて行くべきだ。 それが真の図面完成度向上につながっていくのではないだろうか。

「 ツールを使いこなせ ! ツールに使われるな ! 」

これが私からのメッセージである。

そして XVL の活用によって、これまで単純なチェックで使っていた設計者の多くの時間を短縮し、設計者の考える時間を増やしたい。その結果としてもっともっといい車を作って行きたいと思っている。

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