兵器システムのライフサイクルをサポートする可視化技術
アメリカ陸軍
戦闘車両 R&Dセンター ( TARDEC )
マネージャー
ラジ・ライヤー博士
イベントレポート
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事例紹介
アメリカ陸軍
戦闘車両 R&Dセンター ( TARDEC )
マネージャー
ラジ・ライヤー博士
アメリカ陸軍における PLM の目的は、プロダクトデータの揺りかごから墓場までの一貫したライフサイクルの管理にある。兵器システムの種類は、非常に膨大であり現在 3,000 以上にもなる。それらのライフサイクルを管理する上で以下の 3 点が重要だ。
この基盤として、プロダクトデータを重要視している。兵器システムは、20 ~ 30 年くらい使い続けるものであり、そのライフサイクルは 50 年以上にもなる。これだけ長期間にわたって兵器をサポートしていくには、その維持費も削減する必要がある。
兵器システムの多くは、民間企業が供給しており、設計段階では、軍と供給元との間でリアルタイムでの情報のやりとりが必要となる。新規の兵器システムは 3D CAD 設計をベースとしている。複数の供給元が、異なる CAD システムを持てば、軍は複数の CAD システムにも対応していかなければならない。CAM や CAE での活用を考えると、高品質なプロダクトデータが必須なので、ソリッドモデルを利用して兵器設計を推進している。
製品のライフサイクルが伸びているなか、プロダクトモデルを数十年後も再利用できることが重要となる。ひとつの兵器システムのプロダクトデータでも、複数の調達先に分散しており、そのフォーマットが異なっている。民間の供給元は CAD データを外部に出したがらないため、最低限の対応としてラスターデータで管理する。
ソリッドモデルで設計を進めると必然的にデータサイズが大きくなる。パーツ数も数万点に及ぶ。数 G バイトものデータ表示には、64 ビット PC が必須であり、それを利用しても非常に時間がかかる。このため、組織内でのデータのやりとりや補給、電子マニュアルなどにおいても、せっかくの 3D モデルデータが活用されないという弊害が起きている。
こういった課題を解決するには、軍独自のものを極力排除し、プロダクトデータをより洗練させ、できるだけ標準のものを採用することが必要となる。そこで、軍の PDM システムにはプロダクトデータを持たず、供給元が持つデータに直接アクセスできるようにした。さらに、相互運用性の課題を解決するためには、STEP、S1000D、U3D といったオープンスタンダード規格の採用も重要である。
さらに、重要なことは、できる限り可視化モデルを採用することで、ネイティブの CAD データの必要性を少なくしていくことだ。可視化モデルは、モデリングやシミュレーション、カタログ化などに幅広く適用していく。複数の下流アプリケーションへも 3D データを再利用することが可能となる。
ひとつの車両は、複数の供給元から採用した部品で構成されており、各供給元はそれぞれ異なる 3D CAD を採用している。可視化システムを採用することで、異なる 3D CAD データでも車両をひとまとめに捉えることが可能となる。さらに、データフォーマットを標準化し、複数のサプライヤーからのデータを統合することで、他のアプリケーションでも横断的に活用できるようになる。
可視化システムとして、Lattice の 3D ( XVL ) を採用した。
選定のポイントは、複数 CAD の複数バージョンのデータを変換できること、STEP や U3D フォーマットも変換できること、そして何よりも、変換後の精度を妥協することなくモデルの軽量性を実現できることである。さらに、閲覧の容易さ、自由な配信や堅固なプロテクション、PLM システムとの統合のしやすさも大きなポイントであった。
陸軍では、XVL で戦車の組み立て手順書を作成したり、歩兵輸送車のコンセプトモデルを共有することを試行している。 また、PDM の WindChill から XVL 変換を実現し、技術者が利用する画面から XVL モデルを表示するといったことが可能になっている。現在、試行期間を経てフルに導入する準備が整った。後は本格運用を開始するだけである。
兵器システムのライフサイクルをサポートする可視化技術
アメリカ陸軍
戦闘車両 R&Dセンター ( TARDEC )マネージャー ラジ・ライヤー博士
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技術センター プラントエンジニアリンググループ 詳細設計チーム 福岡 和彦 様
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