イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2009 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

ユーザー講演

3 次元データ徹底活用 XVL から始まるプロセス革新

アスリートFA株式会社
設計部 3D CAD推進グループ 課長

土橋 美博 様

アスリートFA は長野県に本社を置き、自動車関係や半導体デバイスの実装、組立システムの開発・製造・販売や機構のアセンブリ等を行っている。同社の製品、マイクロボールマウンタは 2007年 に新機械振興賞を受賞、業界標準 COF アンダーフィル装置は世界で 60 % 以上のシェアを誇る。

3D 活用の理由と XVL の導入

製品の高精度化・高速化・小型化、そして海外装置との競合による低価格化、開発期間短縮の要望により、2007年 に 3D CAD を導入し、3D データ活用を始めた。ところが、3D データは設計部門でのみ活用され、加工、組立、帳票などは 2D で運用されていた。設計部門においても、設計業務以外の作業が増えてしまい、設計に注力できない状況があった。

これを改善するために、3 ヵ年計画の 「 A3 プロジェクト 」 がスタートした。各部門の業務課題を抽出した結果、全体最適の視点からの部分最適化を進めることにした。

これまでの組立やデザインレビューは 2D で行われており、製造側から見た 3D データ活用は、メリットがない、重くて動かない、時期尚早であると意見がある一方で、動きを知りたい、3D データがほしいといった前向きな意見もあった。そこで 3D データの全社活用を徹底的に考えることにした。しかし、3D CAD には、イラスト機能、アニメーション機能などがなく、動作が重い。そのため、設計部門では 3D CAD を、非設計部門では軽量で機能の充実した 3D Viewer を活用することにした。2007年 にビューワの比較検討をしたところ、軽量性と操作性、そして装置の構成部品が正確に反映されたという特徴から、XVL を採用した。

XVL 活用事例

CAD で 470 MB のモデルは、XVL では 2.79 MB となり、全社活用に十分な軽量性が確保できた。また、装置の構成( 属性とファイル数 )も、合成部品が正確に反映されていた。従来、3D CAD から 2D の図面を作成しているために、図面の見づらさが課題だった。ここに XVL を活用して、3D データを見ながら組立作業を行うようにしたところ、その使いやすさから、皆が 3D データを見て、組立を行うようになっていった。現在では、製造部門からは、XVL を閲覧するために PC の増設要望が出てきており、データのセキュリティに関する提案も出てきている。

中国の製造拠点でも、組立作業指示書をアニメーション化し、動画で見せ、有効なコミュニケーションツールとしての活用が注目され始めている。中国での実運用化に向けて、 Lattice3D Reporter を使った組立指示書や、全体像を表示しながら部品の位置を確認できる部品リストなどに、今後の期待が集まっている。

XVL 活用事例 -Vmech を使ったシミュレーション

2008年 には、他部門での 3D 活用と連携を深める過程で、実機なしにソフトウェアのデバッグを行う Vmech ( XVL Vmech Simulator )を導入した。XVL ファイルを使って実機レスのデバッグを行うことで、バグの早期発見、繰り返しのシミュレーション、メカ起因の問題解決のフロントローディング化などの効果が出ており、納期の短縮に貢献している。

また、3D モデルによる情報伝達で、設計者以外にも装置の理解が深まった。アスリートFA では、本来のデバッグを実機レスで行い、精度出しを実機デバッグで行う手法で、すでに 80 % 以上の実機レスデバッグ率を実現したケースも存在する。現在では、さらに早いタイミングで、より少ない工数で Vmech を運用することで、設計製造プロセスを革新し、さらなる経営的効果につなげたいと考えている。

プロセスの革新を目指して

2009年 2月 から、デザインレビュープロジェクトがスタートした。デザインレビューでは、いかに早く設計以外の部門に 3D データを見てもらうかがポイントになる。詳細設計が終了した段階で他部門にも XVL を公開すれば、部門をまたいだデザインレビューが早い段階で設計変更が行える。また、XVL データを Vmech で早く運用し、XVL を徹底的に使い倒す。デジタルプロセスエンジニアリングを徹底的に活用するために、デザインレビューのプロセスを変革することが重要なキーになる。

3D データ活用は、設計品質の向上、設計の効率化、コストと納期の削減を目的とする。これを実現するためにはツールを導入しただけでは実現できない。プロセスを変え、システムを適切に運用し、全社での活用を進めるために、XVL は重要な位置を占めている。

アスリートFA では、他社に勝つための取り組みとして、3Dデータの徹底活用とナレッジの共有化に取り組んでいる。未来志向で、開発・設計・製造のプロセスを継続的に革新していく。

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