XVL ビジュアライゼーション・可視化 活用
新潟原動機株式会社
技術センター プラントエンジニアリンググループ
詳細設計チーム
福岡 和彦 様
イベントレポート
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事例紹介
新潟原動機株式会社
技術センター プラントエンジニアリンググループ
詳細設計チーム
福岡 和彦 様
新潟原動機は、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、ガスタービン、Zペラ、発電プラントなどを主力製品とする。XVL データをビジュアライゼーションに利用した実績は、前回 2007年 の XVL Solution World で発表したが、現在は、さらなる XVL 活用のフェーズに入っており、今回はその事例と新たな取り組みを紹介したい。
新潟原動機での 3D データ活用の歩みは、2002年 に 3D CAD として Pro/E を導入し、プラント業務への展開を進めたが、大規模なモデルが開けないという壁にぶつかった。2006年 に XVL 活用を開始し、大規模なプラントの 3D データの全体表示や、断面生成が可能になった。現在は、設計部門と生産部門の連携というテーマに着手している。
新潟原動機では、2007年 に XVL 活用のフェーズ 1 として、CAD からコンバートした XVL ファイルを XVL 製品群で活用した事例を発表した。
今回、紹介する XVL 活用のフェーズ 2 では、XVL をエクスポートして生成する中間ファイルを活用する。XVL から生成した中間ファイルは、CAD から生成した中間ファイルに比べ、高精度・高圧縮の品質が良いデータのため、有効活用が可能だ。これまで難しかった大規模アセンブリを使った CG レンダリングや流体解析などへのデータの活用が可能になった。また、新潟原動機で利用している CG ソフト、Autodesk の 3ds max Design との相性も良い。屋外での設置サンプル CGの 作成や、日照検証などを行っている。
これらの CG モデル作成の具体的な手順は以下である。XVL Studio で 3ds 形式のファイルを出力し、3ds max で読み込む。座標系の方向を修正し、ポリゴンの局面をスムーズにする。ライトの配置や、太陽光の位置などを設定し、背景色や画像を選択した後、レンダリングを実行すれば完成だ。新潟原動機で行っている XVL ファイルからの CG 完成までにかかる時間は、わずか 15 分 程度である。
組立工程設計に XVL を活用する狙いは、組立ツリー構成検討による工程設計の前倒しと、帳票作成の半自動化による工数削減である。XVL を選定した理由としては、他社製品とベンチマークを行った結果、XVL のパフォーマンスの高さや工程部分に力を入れているという印象を持ったこと、そして組立だけではなく、開発~販売までの広い範囲で 3D 活用のツールになりえることが決め手となった。
また、新潟原動機では、この手順でレンダリングできなかったモデルはこれまでひとつもない。
ものづくりの世界で重要なことは、常に設計モデルと CG モデルがイコールであることだ。設計変更に追従した CG モデルを構築するために、XVL を使用する。このオリジナルの設計モデルを短時間で CG 化すれば、真のリアリズム表現と本物の強さから生み出されてくるビジュアライゼーションの活用につながるのだ。
もうひとつの課題が XVL で見える化した技術シートを見てもらうための仕組みづくりだ。ドキュメントを文字で検索するのではなく、目で見て探せる、そして見たいと思わせる仕組みづくりが必要だ。
ホームページ、つまりビジュアルな入れ物に、ビジュアルな技術資料を格納し、見たいときに簡単にターゲットにたどり着ける仕組みづくりを模索している。
どの製品のどこを調べたいか、目で見て探せるということだ。さらに関連情報を集約して閲覧できるようにしておく。技術資料は、作りやすさとメンテナンス性の観点から XVL Notebook で構築している。
つまり、目で見て探せるという意味の 「 見た目の見栄え 」 であるビジュアライゼーションと、「 内容の見栄え 」 である本質の伝達と可視化、このふたつを実現する仕組みづくりに XVL と CG を活用したい。
次のテーマは各種データと設計モデルの融合・検証だ。3D CAD、中間ファイル、各種ビューワ、CG、点群データ、ポリゴンなどのさまざまなデータを XVL Studio に持ってきて、融合活用する。たとえば、CG ソフトで作ったトラックのデータと、プラントの設計データを融合し、積載性の検討に活用できる。XVL Studio 上では、計測も可能なので、生産部門が 「 見たい 」 と思わせるビジュアライゼーションが可能になる。
もうひとつの例は、非接触式計測器で生成される点群スキャンデータとの融合だ。点群データをポリゴン化し、XVL 化することで、計測データを誰もが XVL で見られるようになり、これが融合活用の第一歩となる。
工場設備の増改築などの場合には、現地で現物と設計モデルの融合により、干渉確認やレビューが可能になる。また、現物と設計モデルの比較を行う際には、XVL Studio の差分検出オプションの活用を考えている。
PDM に必要とされるのは、オフィシャルデータを管理することばかりでなく、仕掛段階のデータをいかに共有するかを考え、設計効率を上げるために下流で必要なものを適切に管理することだ。これには、XVL からストレスなく検索ができること、XVL の中身をプレビュー検索できること、ターゲットを見つけたら 3D 表示ができること、そして使い方が簡単な環境が必要だ。
こうした設計作業効率向上のための環境整備と費用対効果をしっかり考えるべき時期に来ていることを認識すべきである。
設計作業効率向上のための環境に必要な要件はいくつかあるが、XVL カーネルをシステム内部に持ち、XVL を開かずにプレビューと検索が可能で、RDB を使わないという用件を満たす検索システムを調査した。その結果、日本アイビーエム・アプリケーション・ソリューションの 「 Data Server システム 」 を設計作業効率向上にアプローチする道具として 導入の検討をしている。
XVL をどう活用し、何に利用するかは、前提条件に固執しないエンドユーザと現場から生まれる。CG、計測器、PDM、それぞれの常識とは異なるアプローチを模索し、見えてくるものがある。新潟原動機では、XVL をものづくりのための新たな道具として活用する取り組みを進めていく。
類似品に惑わされることなく、エンドユーザが XVL を進化させる提案をする。ものづくり立国である日本の現場力が、XVL を磨き上げる取り組みを進めていくのだ。
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