イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2011 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

ユーザー講演

成型金型工場におけるデジタルエンジニアリングの実践

山形カシオ株式会社
部品事業部 部品技術部 金型技術課 課長

滝口 隆治 様

山形カシオは 1979 年の創業以来、カシオ計算機のマザー工場として電卓、時計を皮切りに、殆どのカシオブランドのコンシューマー商品を生産し、世界中に送り出してきている会社である。 主な事業内容としては精密金型及びプラスチック成型品の製造販売、チップマウンターの開発から販売・サービスまでの事業を手にかけており、ワールドワイドに活躍している。

市場ニーズと山形カシオの対応

現在市場においては、商品ライフサイクルの短命化が叫ばれており、それに対してセットメーカーは、開発リードタイムの短縮、短期集中生産( 垂直立ち上げ )が求められている。

こういった市場ニーズにこたえるべく、山形カシオとしては開発リードタイム短縮のためにコンカレントエンジニアリング、デジタルエンジニアリングの適用を行いデジタルデータの活用に励み、お客様の要望を満たすべく業務を進めている。

短期集中生産においては成型品安定供給を行うために、高品質金型の設計、量産監視、高水準立ち上げ、高精度設備を用意する等データの自動収集に取り組んでいる。このようなデジタルネットワーク化により、お客様の満足できる製品を作り出し市場へと展開を行っている。

またデジタルネットワーク化への推進として、94 年に UG( 現 NX )を導入し、2000 年に設計データの完全 3 次元化、ネットワーク化を実現した。だが設計データは 3 次元化したものの、図面をなくすことはできなかった。あくまでも 3 次元データは形状を確認するためのものであり、従来図面で伝達していた、設計意図を伝えることができなかったからである。

つまり、3 次元データの作成 + 図面の作成を行わなくてはならなかったため、設計者の負担ばかりが増える結果となってしまった。そこで図面を作成する手間をなくし、完全図面レスを実現するために XVL を導入し、2004 年には完全図面レスを実現することに成功した。

XVL の適用範囲と効果

山形カシオでの XVL 活用範囲は多岐にわたる。

事前検討での製品の形状確認や冶工具の形状確認から、現場での組立て指示書、加工工程や、評価・品質管理、さらには営業用のプレゼン資料と、今までは 3 次元にあまり触れることの無かった部署のスタッフまで 3 次元を扱うようになってきている。 従来 3 次元データを見ることができたのは設計部だけであったが、XVL 導入することにより、後工程の部署でも 3 次元を確認することができるようになり、金型を組立てるうえで問題が無いかどうかを事前に確認ができるようになった。

冶工具の確認についても同様に設計した 3 次元データを確認しながら、本当にその冶工具が使えるかどうかを、製品が完成する前に確認できるようになった。組立指示書は従来の図面よりも3次元データ付き、アニメーション付きでどこに何が組みつくかといった内容も分かりやすく、現場からも評判が良かった。

また営業の方でも簡単に 3 次元データが扱え、図面より分かりやすいとのことで非常に好評とのことだ。加工指示書では従来の図面の代替として、Lattice3D Reporter をつかった帳票を作成している。この製品を使うことにより今まで設計者の意図することを書いていた図面とほぼ同等のものが出来上がり、また設計者に負担をかけることなく作成できるようになった。評価・品質管理においても 3 次元を利用することにより図面時より分かりやすく測定指示等が行えるようになった。

以上のような用途で XVL 活用を行っているが、山形カシオでは 3 次元 CAD データの変換から、組み立て指示書、加工指示書等の各種帳票作成を自動で行っているため、設計が完了した段階ですぐ後工程にもデータが流れすぐに仕事に取り掛かれるようになった。自動作成による作成工数の削減や、2D と比較しての視認性の向上が効果として出てきている。また帳票作成の各工程においても、自動作成なので人の手作業が入らずに、人的ミスが 0 になったという効果も挙げられている。

ものづくりの大変革に向けて

山形カシオはものづくりの変革を行う際には、デジタル化 & ネットワーク化、技術情報伝達システム化が必須条件であると考え、この 2 点を抑えておくことにより二次元紙文化からの脱却を行うことができ、完全 3 次元化を実現することができるという。そして 3 次元化を行うことにより、開発期間の短縮や短期集中生産つなげることができ、その結果としてものづくりプロセスの大変革を行うことができる。

ただその際問題となった点として『 3 次元データだけでは技術情報は伝わらない 』 ので、『 情報伝達のシステム化し自動化省略化 』 という 2 点について、山形カシオは XVL を活用し、プロセスの大変革に成功したといえる。

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