イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2011 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

主催者講演

3Dで「造」を「創」に
-超大容量データで現物レス検証し、
軽量3Dをグローバル生産に生かす-

ラティス・テクノロジー株式会社

鳥谷 浩志
代表取締役社長

本文

かつて、世界に冠たる日本の製造業は、Made in Japanに象徴される品質と、たゆみないKaizenによる効率性の追求により世界に君臨した。これを「ものづくり1.0」と呼ぶとすれば、失われた20年を経て、3.11震災後の製造業は「ものづくり2.0」を目指す必要がある。「ものづくり2.0」には、重要なキーポイントが二つある。一つは、新興国の追従を許さない、日本でしか創造できない高い付加価値の製品を開発することである。もう一つは、先進国と新興国の双方の地産地消に対応したグローバルなモノづくり、すなわち Made in Japanの品質を海外生産でも実現することである。

このようなニーズに対応するため、ラティス社が徹底的に取り組んできたのが、世界最高水準の3D基本性能の提供である。このために、次世代3D軽量化技術U-XVLを開発し、グローバルなデータ共有の基盤となる軽量性と、現物レス検証を実現するための大容量データ処理の実現に注力してきた。64ビットCAD変換に対応し、今では、大規模なメカニカル製品や設備、エレキデータのXVL変換を提供している。このU-XVL技術上に最適化したソフトウェアを作り込むことで、CADで50Gバイトを超える自動車数台分のデータを表現し、これをリアルタイムに表示、検証することを可能にした。実際に自動車や船といった複雑で大容量のモデル表示を体験したユーザーは、もう元のソフトウェアには戻れないと語っている。

次に取り組んできたのが製造業の高付加価値製品の開発支援である。XVLの世界レベルの大容量データ処理能力で、複雑な製品の品質の造り込みを支援してきた。具体的には、設計段階における製品モデルのデザインレビュー(DR)、工程の設計と実際にモノができるかの検証、エレキデータとメカデータを融合したハイブリッドなDR、XVLによるバーチャルメカを利用したソフトウェアの検証の4点である(図1)。これを利用することで、エレキ・メカ・ソフトをすり合わせて、日本でしか実現できない先進機能を提供することが可能になる。設計者は創造的な製品設計に注力し、ITでその品質を検証することが可能になったのである。実際、トヨタ自動車様では、XVLを利用して自動車の組付け工程の検証を行っている。

グローバルなものづくりの時代には、日本で設計、工程を設計し、これを海外で生産するという分業があたり前になる。言葉や文化の壁を越えて、Made in Japanの品質を実現するための作業指示を、正確にかつ迅速に現場に伝達しなければならない。これを可能にしたのが、XVLによる作業指示書ソリューションである。XVLを利用して正しい工程を設計し、この結果を自動的に3D情報付きの指示書にして、展開するのである。山形カシオ様では、これを利用することで、完全な図面レスの金型工場を実現している。また、常石造船様では、日本で工程設計したものをフィリピンの造船所で、作業指示に利用している。。

ITを取り巻く変化の波は激しい。アップルのiPadやGoogleのアンドロイドを利用したタブレット型PCやスマートフォンが普及し、ビジネススタイルも変化しつつある。ラティス社では、iPadやアンドロイド上で、XVLを表示させる開発にも取り組んできた(図2)。製造やサービスの現場にも、このような機器が普及してくることで、客先で部品表を3Dで確認したり、3Dのサービスマニュアルを現場で確認するといったことが当たり前になってくる。ラティス社では、現場ニーズに即した新しい仕事のスタイルを提案していく。製造部門と設計、すなわち創造部門をビジュアルにつなぐXVLで、日本の「ものづくり2.0」を製造業の皆様とともに実現してゆきたい。

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2011
講演レポート


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