イベントレポート

XVLものづくりセミナー 2012 in 大阪  講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

主催者講演1

XVLパイプラインによるものづくり革新

ラティス・テクノロジー株式会社

鳥谷 浩志
代表取締役社長

ラティス・テクノロジーは、「3Dで世界を変える」という思いで創業し、今年で設立15年目を迎えた。大容量3Dデータを軽量化しあらゆる分野で活用するという設計思想で、3Dデータ活用ソリューションを提供している。

六重苦に囲まれた日本の製造業は厳しい生存競争の中にある。ここ数年、製造業を待ち受けていたのは、デジタル家電をはじめとする製品の価格低下のよるコモディティ化の罠と、携帯のように機能を追求し日本でしか通用しない製品を作ってしまうガラパゴス化の罠であった。グローバル製造業はこれらの罠を避けながら、世界と戦わなければならない。そういった製造業にラティス・テクノロジーが貢献できることは、以下の3点である。

① 日本のすり合わせ能力を支援する
② グローバルな製造拠点に対しものづくり情報を伝える
③ Made in Japan の品質を低コストで実現する

この3点を説明する前に、XVLの性能向上を説明しよう。昨今の64ビットPCの普及もあり3DCADデータはさらに巨大化しつつある。XVLでは車数台 約50GBの3Dデータを軽量化しPCで扱うことができる。さらにデジタルモックアップ(DMU)も実現し、バリエーションや数千の組立工程等を加え、その工程を検証することを実現している。さらに今年XVLは64ビット環境にも対応し、10月リリースのXVL Studio Ver.11.1ではノートPCでの表示速度も10倍以上高速化した。ラティスは世界No1の3D基本性能世界で日本の製造業に貢献しようとしている。

それでは、上記の3点を順に説明する。まず、1つの目のポイントとして、すり合わせ設計支援として、メカ・ソフト・エレキ検証を統合したDMUソリューションの強化を行ってきた。既存DMUはシミュレーション機能を強化しすぎて、高価格・専門性・巨大データという3つの壁を生み出した。XVLはシミュレーションではなくビジュアリゼーションに特化することでこの壁を突破した。Light DMUという発想で、軽く扱いやすい3Dデータをサクサク見るだけで工程を簡単に検証できるようにした。このソリューションは、実際にグローバルに多くの企業で利用されている。

2つ目のポイントは、海外向けの作業指示書ソリューション強化だ。製造業の潮流として海外、とくにアジアでの生産が増加しているなかで、国境を越えてのコラボレーションが必須になっている。ラティスでは、2012年4月に組立図の自動作成機能を、9月にはそれをWebで配信できる仕組みを、そして10月リリースのXVL Studio Ver11.1では多国言語に対応した作業指示作成機能を実現した。これにより、工程を設計すれば、製造拠点ごとに必要な言語で作業指示書を自動生成できるようになった。海外拠点の立ち上げには最適なソリューションになるだろう。

3つ目は、イラスト出力の高品質化である。テクニカルイラストは実物をもとに手描き作成していたが、昨今では3Dデータからイラストを作成することが当たり前になりつつある。XVLは大容量のデータを扱うことはもちろんのこと、高い品質のイラスト出力を実現してきた。最新のイラスト機能では、”消すべき線を消し残すべき線は残す”、”伝わるイラスト作成”、”軌跡線作成支援機能”を強化することでイラスト出力の品質を向上させている。大手企業での運用が続々と始まり、今やテクニカルイラスト作成の業務分野ではXVLからイラスト作成が標準となろうとしている。

ラティスの戦略および技術の特徴は『世界No1の3D基本性能を提供する』、『1ファイルPLM』『曲面品質』という3点であり、この特徴が上記の3つの貢献を可能にしてきた。このうち一つのXVLに必要なPLM情報がすべて入っているという『1ファイルPLM』により、”One XVL Multi Use”が実現できる。1つのファイルの中にあらゆるものづくり情報が入っているXVLは、MS Office、Web、さらにタブレットPCで情報を展開することが可能だ。高価な仕組みがなくて、必要な人に必要な情報を伝えることができる。タブレットPCでの展開としては、7月にはiPad上でHTMLファイルとXVLの連携を発表した。さらに、iPad上でのXVL活用事例が次世代ものづくりのあり方として、新聞紙上でも取り上げられている。

”3Dをしゃぶりつくす”とは、『全社3D活用でCAD投資を生かす』ということである。これまでの3Dデータは、設計・デザイン・生産技術領域でしか利用されていなかった。このデータをXVL化し下流に開放し、後工程で徹底的に活用する。日本の製造業の生き残りのための施策として、3Dデータの全社活用による生産性向上は必須である。ユーザーの皆様とともにXVLパイプラインで全社3D活用を推進していく覚悟である。

XVLものづくりセミナー 2012 in 大阪
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