イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2013 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

主催者講演

製造業ルネッサンスをグローバルに支援するXVLパイプライン

ラティス・テクノロジー株式会社

鳥谷 浩志
代表取締役社長

アベノミクスによる円高修正で製造業も一息ついている今こそ、次の成長を見据えた戦略が必要である。ニッポン製造業の再興に向けた成長戦略を考える上で、以下のような3つの視点が大事であろう。

①製造拠点を国内に置くのか、海外に置くのか、その中でグローバルにMade in Japanの品質を実現するにはどうすればよいのか。
②日本ならでは付加価値を実現するためにますます複雑化する製品をどうやって設計していくのか。
③メディアで話題の”メーカーズ“革命のベースとなる3Dデジタル設計の流れをどう生かしていくのか。

これをITから側面支援しようという考え方が大容量の3Dデジタルモデルで設計を検証し、守るべき品質を軽快に伝えるという「XVLパイプライン」である(図1)。これはCAD設計の普及で設計部署に蓄積された3D CADデータを軽量XVL化し、それぞれの組織に必要な形に加工して、全社に流通させることで、関係する組織の隅々まで設計情報を共有しようという考え方である。CADから変換された設計情報としてのXVLモデルが組織を流通する中で”ものづくり情報“として進化していく。結果として、3D設計の恩恵を全社で享受することができる。

たとえば、大量のメカ部品とエレキ部品を組み合わせて実現される複雑な製品の設計の正当性をXVLモデルで検証できる。また、工程まで付加したXVLモデルを利用して、製造視点でのレビューを早期に設計にフィードバック可能になる。人体モデルを置き、実機に代わる複雑な3Dモデル上で作業性を検証することすら可能になった(図2)。このようなデジタルエンジニアリング導入の成功事例が続々と生まれている。実機のない段階で次々と設計製造プロセスが並行して進んでいくサイマルテニアス・エンジニアリングの時代には、このようなITが必須になる。

グローバルに製造拠点が広がると、Made in Japanの品質を再現するための作業指示書をいかに作成し、伝達していくかが大きな課題になる。実は、3Dモデルに組立工程が定義されると、作業指示書はXVLモデルから自動的に生成可能になる。ラティスでは、工程そのものを標準的な作業を利用して定義し、各作業を多言語で表現する仕組みを提供した。これによりタイであればタイ語の、中国であれば中国語の作業指示書が自動的に作成できるようになった。しかも、各作業指示書は、マイクロソフトofficeのデータとしても、WebやiPad上のHTML5コンテンツとしても提供することができる(図3)。

iPad上の無償ビューワ「iXVL Player」も作業指示書のためのアニメーションを再現したり、サービスマニュアルを2Dイラストと3Dモデルや部品情報と連携させて表示することが可能になった。iPad上の3DモデルをHTML5と連携させて、指先だけで参照できるようになったことで、3Dモデル利用範囲が製造からサービス分野にまで拡大している。実際、製造現場にもタブレット革命が進行しつつあり、2012年末にはXVLユーザーの先進事例が日経新聞にも大きく報道された。

設計や生産技術、製造現場にXVLによる3Dデータ活用ソリューションが定着すれば、そこに「ものづくり情報の流れ=XVLパイプラン」ができる。このXVLパイプラインに流れる情報をPCやタブレット、スマホで参照し、作業指示書やサービス部品表、プレゼンへと活用可能になる。これまで設計部署は、多大なCAD投資を行ってきた。上流に蓄積された3Dモデルは設計情報そのものである。これに製造で必要とする属性を付加して、ものづくり情報としてXVLパイプラインに乗せて流通させる。ますますグローバル化し、複雑化する製造業を、XVLパイプラインにより支援することで、ラティスは製造業の復権に貢献していく覚悟である。

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2013
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