イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2014 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

パートナー講演3

CAD・BOM連携およびナレッジマネージメントがもたらすエンジニアリングチェーン革新

株式会社図研

上野 泰生 様
プリサイト事業部 常務取締役 事業部長

エレキCADのトップベンダーとして国内トップシェア、世界第2位のシェアを誇る図研。同社は近年、創立以来のエレキCADのビジネスに加えて、メカCADとエレキCADの設計情報を連携させる「エレメカ協調設計」ソリューションを積極的に展開している。ここで重要な役割を果たしているのが、XVLの3D技術だ。

図研は2010年にラティス・テクノロジーと資本提携を結んで以来、自社製品にXVL技術を積極的に取り入れてきた。例えば、通常では目に見えない「電気の挙動を3Dで可視化」する「XVL Studio Z」を共同開発し、設計段階における安全規格、静電気、EMC検証を実現している。また、現在ではプリント基板だけでなくワイヤーハーネスの設計データもXVLで3D化し、仮想空間の中で物理配線の検証を行う技術の開発にも取り組んでいる。

さらには、現在最も力を入れている製品「visualBOM」においても、XVLが存分に活用されている。「モノ作り情報プラットフォーム」と図研が位置付けるvisualBOMの特徴について、同社 プリサイト事業部 常務取締役 プリサイト事業部長 上野泰生氏は次のように説明する。

「単なる帳票としてのBOMではなく、部品データをXVLでビジュアライズし、軽量化した上で、設計部門以外でも積極的に活用していこうというのがvisualBOMの狙い。XVL Studioでも確かに似たようなことはできるが、データが正規化されていないため、アプリケーションから扱いにくい。visualBOMではそれをきちんと正規化した上で、設計部門以外の業務でも広範に扱えるようにした」

その代表的な機能の1つに、「類似形状検索機能」というものがある。これは、部品の形状から特徴ベクタを抽出し、それを基に類似した部品を検索できるという技術で、図研とラティス・テクノロジーの共同開発により実用化された。類似した部品を何度も設計し直す手間が省けるため、「CADを使っていちいち部品を新規に設計するのではなく、BOMから類似部品を引っ張ってきてそれを基に開発を行う『CADレス開発』の可能性が開ける」(上野氏)

こうした取り組みに加え、同社では現在、「ナレッジマネジメント」の分野にも力を入れている。多くのモノ作り企業が現在、「社内に蓄積されたベテラン設計者/技術者のノウハウを、いかに若手に伝承していくか」に頭を悩ませている。この課題の解決策として期待を集め、実際に多くの企業で導入が試みられたのが、いわゆる「ナレッジマネジメントシステム」だったが、残念ながらその利用が根付くことはなかった。

その理由として、上野氏は「業務とナレッジマネジメントのプロセスが乖離している」「ナレッジの登録や蓄積に手間が掛かる」「専用ツールの使い方を覚える必要がある」「実務との関連性を感じにくい」という4点を挙げる。そして、これら従来型のナレッジマネジメントシステムの問題点を解消し、新しいアプローチで開発された製品が、今年2月にリリースされた製造業向けのナレッジ共有システム「Knowledge Explorer」だ。

「Knowledge Explorerは、社内の共有フォルダ、データベース、イントラネットの他、社外のWEBサイトを自動的に巡回して、設計・製造業務に必要なナレッジを自動的に収集し、設計者等に適切なタイミングで情報提示を行う仕組みだ。(これにより、例えば、不具合報告書に記載されている不具合対応策などのナレッジが、社内に漏れなく流通するようになる)そのため、ユーザー自身がナレッジを新たに登録したり、検索したりする手間は一切発生しない。さらに、ナレッジは、BOMやCAD、マイクロソフト社のオフィスソフトなど、日常業務に利用されるシステムやツール上に提示されるため、普段の業務の延長線上で自然に利用でき、自ずとナレッジ活用が促進される」(上野氏)

この仕組みで、BOMやCADによる設計作業の中で、不具合を誘発する部品や、相性の悪い部品を流用するような事がなくなり、手戻りを劇的に減らす事が可能だ。これらに加えて現在、visualBOMのXVLデータとナレッジを結びつける機能をラティス・テクノロジーと共同で開発中だという。

「XVLによる3Dビジュアルにナレッジを連携させることで、例えば、部品同士の位置や形状が関係する不具合を視覚的かつ正確に把握可能となり、間違いのない設計対策を行う事が可能になる。ユーザーはより正確な状況把握が可能になるはず。今後ラティス・テクノロジーと共にこうした3D機能の付加価値をさらに高めて、近いうちに製品として正式リリースしたいと考えている」(上野氏)

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2014
講演レポート


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