ものづくりの理想と現実をコネクトする3D活用
・・・XVLの導入からパイプラインの構築まで
株式会社KCM
製造部 生産技術課(兼)プロジェクト部 基幹職
兼本 康生 様
イベントレポート
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事例紹介
株式会社KCM
製造部 生産技術課(兼)プロジェクト部 基幹職
兼本 康生 様
兵庫県に本社工場を構える株式会社 KCM は、ホイールローダを中心とした建設機械の設計・製造・販売・サービスを手掛けるもの作り企業である。同社では、8 年前より全社的に 3D データ活用を推進している。その背景について、同社 コンカレント体制( 3D )推進プロジェクト 製造部(兼)プロジェクト部 兼本康生氏は次のように振り返る。
「 ホイールローダ市場を取り巻く環境が厳しさを増し、開発期間の短縮とコスト削減、さらなる顧客満足度の向上を求められる中、従来の開発スタイルでは限界があると判断し、フロントローディングとコンカレント開発のプロセスを構築し、開発期間の 30 ~ 50 % 短縮を目指すことになった。そのための手段として、3D データを活用した設計を導入せよとの命がトップダウンで降りてきた 」
早速同社では、社内横断の推進プロジェクトを 2007 年に発足。設計部門では 3D CAD を全面導入し、3D データ化が急速に進んだものの、下流工程での活用はなかなか進まなかったという。そこで、下流での 3D データ活用を促進するための方策をさまざま検討した結果、XVL の 3D ビューアの導入を決定した。
XVL を選択した理由について兼本氏は 「 設計部門が作成した 3D データを下流部門の業務で使うための “ 正直ベース ” のツールは、XVL しか見当たらなかった 」 と説明する。
現在では、上流から下流まで社内のさまざまな部門で XVL を使った 3D データ活用が根付いてきたという。
例えば設計部門では干渉チェックに 3D CAD と併せて XVL を利用したり、あるいはデザインレビューをはじめとするさまざまな資料作成に XVL Studio が活用されている。また、XVL を活用したデジタル事前検証プロセスを導入することで、設計変更や試作時の手直しが大幅に減った。
製造部門では XVL Studio の工程ツリーや注釈ビュー機能を使い、量産を想定した最適な組立方法や手順を早期に確立したり、あるいは3Dイメージを駆使した組立作業指導書を XVL データを基に作成することで、現場部門では事前に最適な組立方法・手順のイメージを把握できるようになった。
また、プロダクトサポート部門ではパーツカタログのイラストやオペレーションマニュアルに掲載する詳細図を、 XVL Studio で簡単に作成できるようになった。
さらには、営業企画部門では製品カタログや各種営業資料や展示会用 VTR 等の製作に XVL データを使用しているという。
2011 年からは、国内の部門間のみならず、米国拠点との間でも XVL の 3D データを活用したコラボレーションをスタートさせている。米国市場向け市場の製品を迅速に生産・出荷するには、部品調達・生産を国内と米国にどう振り分けるのが最適か。 XVL Studio の工程ツリーや製造ツリー機能を使って製品のMBOMを構成し、これを国内と米国拠点で共有することで、最適な振り分けを迅速かつ正確に判断できるようになったという。
しかし、同社における 3D 活用は初めからうまく行ったわけではなく、それどころか当初は設計部門における 3D 作成の負荷がかさみ、また、3D データの精度にも問題があったため、開発プロセス短縮どころか、逆に期間が延びてしまったという。
そこで推進プロジェクトでは 「 3D データの精度保証と維持 」 「 3D と EBOM の構成を統一 」 「 2D 画面と 3D( XVL )の同時リリース 」 という 3 つの対応策を講じ、誰でも必要な時に必要な部位の 2D 画面と 3D( XVL )を PDM から検索・入手できるシステムを構築したところ、ある時点から一気に 3D 活用が下流も含めた現場で定着してきた。
その結果、「 現在進行中の次期機種開発プロジェクトでは、開発着手から製品出荷までのリードタイムを少なくとも 30 % 削減できる見込み 」(兼本氏)だという。
なお同社では今後、2D 図面とそれに対応する 3D( XVL )データをパッケージングし、それを使った各処理業務をデジタルジョブ化することで、業務効率および業務進捗管理のさらなる向上を図っていくという。
また、2013 年に構築した XVL パイプラインをさらに高度化した 「 XVL パイプライン( 2 期 )」 を中心とした製販一体のプロセスを確立し、国内・海外市場で必要とされる仕様をより迅速に生産・出荷できる体制を構築したいとしている。
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