イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2015 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

東京会場

「ものづくり技術・匠の技能」発揮によるXVLデータの活用

トヨタ自動車株式会社

彦坂 栄二 様試作部 企画総括室 室長

トヨタ自動車株式会社 試作部 企画総括室 室長 彦坂 栄二 様

トヨタの試作業務を支える「匠の技能」

トヨタ自動車の試作部では、トヨタが販売するほとんどの車種の試作を行っている。量産工場であれば、それぞれの車種ごとに工務、調達、製造、品質管理の部が分かれるところを、試作部ではそれらの車種を1つの部署で製作しなくてはいけないことから、同部 企画総括室 室長 彦坂栄二氏によれば、「それら全ての機能が試作部に集約」されていると同時に、「車種横並びで見れる環境」にあり、どんな難題にも「クイック&コンパクトに対応」できることが特徴であるという。

そんな試作部には、”匠の技能”を有した者が多数存在する。1枚の鉄板から野球のグローブや車の1/5モデルを瞬時に作り上げる板金加工の匠がいる。また、動力性能などを検証する試作車づくりにおいては、どんなに開発初期のトラブルが多い段階であっても、極めて幅広い車両構造知識や先述の車種横並びに見れる環境を活かし、必ず走る車に仕立て上げることも匠の技能の一つと言える。

「我が試作部員は極めてレベルの高い”匠の技能”を活かし、日々、車両開発に貢献している。また、単に依頼通りの試作をこなすだけではなく、自ら主体性を発揮して自動車開発に独自の付加価値を付け加えられるような働き方が求められる」(彦坂氏)

XVL活用分野における「試作部の働き方改革」

こうして日々匠の技を磨きながら試作を行う中で、試作業務の様々な分野においてXVLが広く活用されているという。試作車の製作業務においては、試作開始の1か月ほど前にXVL上で組付作業性検討やエンジン搭載治具の汎用性検討など、問題の有無を事前にチェックすることを徹底し、対策を推進している。

また、メンテナンス性や水漏れなどの車両評価においても、事前にXVL上で評価を実施しておくことで車両評価全体の効率化に繋がったという。その一例として彦坂氏は、ブレーキブースターの脱着性の評価や、配線・配管の可動範囲のシミュレーション、水漏れ対策、さらにはリサイクル解体時にワイヤーハーネスがスムーズに引き剥がせるかなど、XVLを活用した商品力向上の為の車両評価の事例を幾つか挙げた。

さらにはコンセプトカーの具現化や、問題解決の為の一品試作など、様々なソリューションを提供する上でもXVLが多いに役立っているという。

「様々な試作業務においてXVLを有効に活用することで、試作業務の付加価値創造だけでなく、試作車生産や車両評価の業務効率化につながり、試作部の働き方も随分と変わってきた」(彦坂氏)

今後は次期IT技術の活用や3D公差解析の活用も視野に

今後 トヨタ自動車 試作部では、XVLのさらなる活用を進めていく予定だという。例えば、現実世界の身体やモノを、仮想空間上のXVLと融合させるMR(Mixed Reality)などの次期IT技術を試作業務にて活用することで、試作のより早い段階で組付作業性やメンテナンス性の問題点を洗い出せるようになる可能性があると考えている。

あるいは、現状では公差や寸法精度のために試作車の各部品の「合い」に限度があり、組み付いた状態で部品間に隙間ができることがある。こうした限界をXVLの3D公差解析により突破し、より試作車の完成度を向上させることで、”もっといいクルマづくり”に貢献していきたいとしている。

彦坂氏は、これまで長年XVLを活用した試作業務に携わってきた経験を踏まえ、XVLをうまく使いこなして業務で生かしていくためのポイントについて、次のように述べる。

「XVLは、開発の早い段階において図面完成度を向上させるのにとても有効な手段。ただし、全ての検討項目をXVLで判断するには限界がある。従って、実物とXVLのどちらで判断するべきなのか、その部分をしっかり考えて見極めることが最も重要だと思う」

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2015
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