CAD + 1 による製造支援システムの造船工程での適用
株式会社JMUシステムズ
開発部 部長付
中本 一則 様
イベントレポート
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事例紹介
株式会社JMUシステムズ
開発部 部長付
中本 一則 様
2013 年 1 月にアイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドとユニバーサル造船が合併して発足したジャパン マリンユナイテッド( JMU )は、大型タンカーからコンテナ船、カーフェリー、海上自衛隊の艦艇まで幅広い製品を取り扱い、国内造船業界で第二位の規模を誇る。
同社では、グローバル競争の激化やモノ作り技能伝承の限界といった環境変化の波を乗り越えるために、IT 技術による DM( Digital Manufacturing )の取り組みを進めてきた。その目玉ともいえるのが、2008 年に開発を始め、2011 年から本格運用を開始した 「 次世代艤装支援システム 」だった。
「 艤装 」 とは、船体に各種装備品を取り付ける作業のこと。中本氏によれば 2007 年当時、この艤装作業の効率悪化の懸念が持ち上がっていたという。
「 団塊の世代の熟練工が大量に退職し、若い非熟練工ばかりが現場に残されることによる作業効率の悪化が懸念された。そこでこの問題をカバーするとともに、建造工数のさらなる削減を狙って、新たな艤装支援システムの開発に着手した 」
そこで中本氏がヒントにしたのが、” プラモデルの組立説明書 ” だったという。旧来の艤装作業では、込み入った複雑な図面を読み解くために極めて高度なスキルと多くの時間を要していた。これをプラモデルの組立説明書のように、取り付ける手順と形状が 3D イメージで直感的にイメージでき、かつ前後の工程も把握できるような手順書で示せるような仕組みを目指した。
そこで白羽の矢が立ったのが、XVL の軽量 3D データ技術だった。
3D CAD の完成品モデルを、まずは部品単位の XVL データに分解・変換する。そしてそれらの XVL データを素材にして、工程・手順ツリーを作成する。さらには、それまで人手に頼っていた組立手順の検討をシステムで自動的に行う機能や、装備・部品の取り付け寸法を自動で付加する機能、組立手順をアニメーションで事前検証できる機能などを独自に盛り込んだ。
こうして、XVL Studio や XVL Player を中心とした各種 XVL 関連ツールを使って開発した 「 ビジュアル手順書システム 」 は、2011 年に稼働を開始した艤装支援システムの中核機能として、JMU の各造船所の現場で広く活用されることになった。
現在では、PC を現場に持ち込んで利用されているほか、PC 持ち込みが困難な現場ではタブレット端末を使って XVL の 3D モデルを参照しながら作業を行うことも多いという
中本氏によれば、特に大型重量物の施行や、複雑なブロックを扱う作業では導入効果が大きいという。
「 XVL は大規模モデルでこそその強みを発揮する。従って、大規模な配管モデルからの系統抽出や、大型重量物の組立シミュレーションといった用途では導入効果が大きい。こうしたブロックでは、導入前と比べ 30 % の作業効率アップが見られた例もあった 」
新たに船を設計した場合、一番初めに建造する船( 1 番船 )が最も工数が掛かり、以降に建造する同型船( 2 番船、3 番船…… )は徐々に工数が下がっていくのが一般的だ。ちなみに新たな艤装支援システムの運用が定着してからは、旧来の 3 番船と同等の工数で 1 番船を建造できるようになったという。
この結果を受け、JMU では艤装支援システムで培った XVL 活用ノウハウをそのまま生かした 「 船殻組立支援システム 」 を開発し、現在では船体の組立作業にも XVL 技術をフル活用したシステムを導入しているという。
「 船殻組立には、艤装にはない 『 溶接線の定義 』 という重要な手順がある。かつてこれを 3D CAD で自動化しようとした際には、処理が重くて使い物にならなかったが、XVL では何事もなく軽快に動作した。このように、弊社が進める IT 技術活用による業務革新において、XVL はなくてはならない存在となっている 」(中本氏)
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