トヨタの 3D データ活用
~ お客様の笑顔のために もっといいサービスを ~
トヨタ自動車株式会社
エンジニアリング情報管理部 情報管理企画室 主幹
栢野 浩一 様
イベントレポート
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事例紹介
トヨタ自動車株式会社
エンジニアリング情報管理部 情報管理企画室 主幹
栢野 浩一 様
トヨタでは、CATIA と XVL を使った 3D データ活用に早くから取り組んでおり、現在では設計だけでなく企画やデザイン、生産技術、製造、販売、品質管理と、モノ作りのあらゆるフェイズで 3D データ活用による業務効率化を実現し、その結果捻出できた時間をよりよい製品・サービス実現のための仕事に充てているという。
「 かつては実車を分解して写真を撮り、さらに図面と突き合わせながら、手動でイラストを作成していた。あるいは 3D CAD のデータを基に、下絵を作ってイラストをおこしていた。こうしたやり方はとても時間がかかり、アフターサービスの現場にタイムリーにサービス情報を届けることが難しかったため、XVL の 3D データを活用して効率的にイラストを作成する方法を模索し始めた 」(栢野氏)
XVL データからイラストを生成する方法には、XVL の線画変換機能を使って線図データを生成する方法と、XVL の 3D イメージからグレーイラストをキャプチャする方法の 2 通りがあった。
両方のやり方を比較検討したところ、当時の XVL 技術では自動生成された線図データに多くの修正を施す必要があった一方で、グレーイラストは圧倒的な工数削減が見込めることが分かったため、後者の方法を採用した。
その結果、修理書のイラスト作成工数を 80 % 以上削減することに成功したという。
さらにパーツカタログのイラスト作成では、ラティス・テクノロジーに線図変換機能の改良を依頼し、XVL から線図データを生成するやり方を採用した。トヨタでは現在これら以外にも、配線図や新型車解説書など、アフターサービスで利用するあらゆるコンテンツを XVL データを基に作成し、大幅な作業効率化の効果を得ているという。
トヨタでは、サービス部門における人材育成のためのツールとしても XVL は広く活用されている。
北米・欧州のサービス拠点では、サービス担当者向けの研修教材を、研修担当者が自ら XVL データを駆使して作成しているという。
国内においても、これまでサービス担当者向けトレーニングで使っていた 「 部品のカットモデル 」 の教材に代わり、部品の機構や動作を 3D モデルで学習できる教材を採用している。
また、車両開発時に車両のメンテナンス性を確認する目的でも、XVL の 3D 車両モデルは活用されている。車両のメンテナンス性の検証は従来、実車が完成してからしか行えなかったが、3D モデル上でエンジンオイル注入作業性などを事前に確認できるようになったことで、不具合を開発初期で早期に抽出して設計に反映できるようになったという。
トヨタでは現在、さらなるサービス品質向上のために、さまざまな領域で新たな 3D 活用の方法を模索・試行している。
例えば、3D モデルで修理の手順などを確認できる 「 3D 修理書 」 や、タブレット端末のカメラで車両を写すと画面上に対応する修理情報が表示される 「 AR 修理書 」 、ヘッドマウントディスプレイを使って修理作業やメンテナンス作業を疑似体験できる 「 VR 教材 」 などがその一端だ。
最後に栢野氏は、モノ作りにおける 3D データ活用のコツについて次のように述べた。
「 『 モノ作りは人作り 』 と昔からよく言われるが、3D データ活用の取り組みにおいても同じことが言えると思う。3D データ活用をそれぞれの会社や組織の風土に合わせて持続的に発展させていくためには、3D データの専門家である 『 3D データサイエンティスト 』 をいかに育成していけるかが、鍵を握るだろう 」
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