3Dレーザースキャナの効果的な活用方法のご紹介
株式会社エリジオン
渡辺 友彦 様プロダクトマーケティング
イベントレポート
2017年5月19日(金)東京会場、8月4日(金)名古屋会場の講演レポートを公開いたします。
事例紹介
株式会社エリジオン
渡辺 友彦 様プロダクトマーケティング
株式会社エリジオン プロダクトマーケティング 渡辺友彦氏によるセッション「3Dレーザースキャナの効果的な活用方法のご紹介」では、3D計測器によって取得できる点群データを使った最新のソリューション例や、点群データをより使いやすくするために同社が開発したソフトウェア製品「InfiPoints」の紹介が行われた。
レーザースキャナをはじめとする3D計測器によって、現物の形状を直接計測して点群としてデータ化するソリューションの導入が、現在さまざまな分野で進んでいる。こうした技術の価値について渡辺氏は「『デジタル・リアリティ』という言葉が最も当てはまると思う。従来の写真と同じようなリアリティを、すべて3次元で実現できるのが点群データの特徴」と説明する。
もともと自動車や造船といった製造分野の顧客からの要望を受けて点群ソフトウェアの開発を始めたが、現在では、図面が残っていない古い既設物件に対して空調などの工事を行う建築設備業界において、現況図を作成するために点群データが使われるケースが増えてきている。また点群データを3Dデータと融合させることによって、これまで新築物件を中心に利用が進んできたBIM(Building Information Modeling)が、既設物件においても可能になったという。
点群データは一般的に大容量となるため、取り扱いが難しい面があるが、エリジオンが開発した大規模点群処理ツール製品「InfiPoints」を使えば、これらをより容易に扱えるようになるという。同製品を使えば、さまざまな3D計測器によって計測した点群データを、XVLをはじめとするさまざまな3Dデータと融合させ、機械設計のCADや建築CADのモデル、あるいはBIMで使われる3Dモデルとして活用できるようになる。
例えば、通常なら足場を組んでの大掛かりな作業が強いられる天井配管などの採寸も、点群データを使えば容易に可能になる。また工場内を満遍なく3D計測して点群データ化し、その上に設備のCADデータを重ね合わせることで、設備の搬入出のシミュレーションを仮想空間上で実施し、実際の作業前に干渉の有無をチェックすることもできる。
さらには、InfiPointsを使えば点群データから平面や円柱を自動抽出して手軽にモデル化できる。配管や鋼材など、建築・設備施工の対象となる部材に関して、自動抽出した形状をベースに、細部のみをInfiPointsあるいはCADを使ってモデル化することで、BIMモデルを従来よりはるかに短い期間のうちに構築できるようになるという。
既に多くの企業が、InfiPointsを使って点群データを有効活用し、成果を上げている。例えば、空調設備などの設計・施行・保守を行う東洋熱工業株式会社では、既設物件の工事を行う際に3Dレーザースキャナを使って現場を計測・点群データ化し、InfiPointsを使って前処理した上でCADモデル化することで、これまで手作業で行ってきた施工図作成の作業期間を大幅に短縮できたという。
またプラント工事を行うJFEプラントエンジ株式会社では、製鉄プラントの配管工事や建物の傾き検証に点群データとInfiPointsを活用している。新興プランテック株式会社でも、石油・化学プラントを計測した点群データに3D CADモデルを重ね合わせることによって、設備の迅速・正確な現況把握と改造検討を実現できたという。そのほかにも世界遺産の現地調査や、東日本大震災の震災遺構の3Dアーカイブなどの用途でも、点群データとInfiPointsが活用されている。
「今後は、InfiPointsのVRヘッドマウントディスプレイ対応や、自動モデリング機能の拡充、点群データから既存設備を切り出して移動・搬出シミュレーションできる機能などを追加していく予定だ。点群は、合成精度や巨大なデータサイズなど、まだ取り扱いが難しい課題もあるが、うまく活用できればこれまでにないまったく新たな施工検討が可能になる。ぜひ皆様から広くご意見・ご要望をいただければと思う」(渡辺氏)
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