イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2017 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

ユーザー講演

CAD+1へ ものづくり改革の布石

日置電機株式会社

技術4部 技術10課 課長水出 博司 様

製造部 生産技術課 係長宮下 久 様

日置電機株式会社 技術4部 技術10課 課長 水出博司氏と同社 製造部 生産技術課 係長 宮下久氏による講演 「 CAD + 1 へ ものづくり改革の布石 」 では、同社が XVL を使って現在進めているもの作り改革の取り組みについて、現場の実例も交えながら紹介が行われた。

組立資料の作成プロセス全般に XVL を全面採用

長野県上田市に本拠を構える日置電機株式会社は、日本を代表する電気測定器メーカーとして製造業界において広く知られる存在。そんな同社と XVL との出会いは、2003 年までさかのぼる。水出氏は当時を次のように振り返る。

「 2003 年当時から軽量 3D ビューワの有用性や必要性を感じており、2007 年には BOM と 3D データを連携させるシステムの独自開発も構想した。しかし当時の PC のマシンパワーなどがネックとなり、なかなか XVL の正式導入までには至らなかった 」

そんな同社がようやく念願の XVL 導入にこぎ着けたのは、2009 年のこと。生産技術部門における組立資料作成に XVL を適用したのがきっかけだった。

工場の組立現場に手渡す組立資料を作成する手順としては、まず工程全体を設計・作成し、次にその内容に従って画像や部品情報、注記などを盛り込んだ組立資料を作成する。そして出来上がった資料を紙に出力するとともに、iPad 上で参照できる iXVL データもあわせて作成し、現場に紙と iPad の両方で組立資料を参照できる環境を提供する。

同社 生産技術部門では、この資料作成プロセス全体に渡って XVL を全面的に採用しており、特に XVL Studio Ver.15 から新たに加わった 「 工程スナップショット 」 の機能はとても重宝していると宮下氏は述べる。

「 工程作成のフェーズで、各工程にひも付けた形で工程スナップショットを作成しておくことで、作成工程の全体像がツール上で容易に把握できるとともに、資料作成担当者への指示も工程スナップショットを基に的確かつ簡単に行えるようになった 」

なお現時点では、ハーネスに関してはまだ設計が 3D 化されていないため、上記の仕組みに乗せることができていない。しかし今後は、図研とラティス・テクノロジーが共同開発した 3D 配線設計ツール 「 XVL Studio WR 」 を使い、ハーネス設計の 3D 化にもぜひ挑戦してきたいとしている。

今後は他業務への適用や BOM・IoT との融合も

また現在同社では、上記の取り組み以外の分野にも積極的に XVL の適用を進めている。

例えば 2015 年からは、製品の取扱説明書作成チームにおいて XVL の活用が進んでおり、翌 2016 年には XVL から変換したイラストを取扱説明書に採用するに至っている。これにより、それまで機構データトレースイラストの作成に 60 分かかっていたところが、XVL 変換イラストによって5分にまで作業時間が短縮され、年間 200 万円のコスト削減を達成したという。

また 2017 年からは、かつて構想しながら志半ばに終わった 「 BOM と 3D データの融合 」 を、これも図研とラティス・テクノロジーが共同開発した 「 visual BOM 」 によって具現化する計画も始動した。

「 ようやく時代が追い付いてきた。今まで頭に思い描いていたことをようやく実現できる道が拓けて、今とてもワクワクしているところだ 」(水出氏)

こうした計画の先には、さらに IoT を融合させたサービスやソリューションまで構想しているという。既に、同社の計測機器から計測データをネットワーク経由で収集し、クラウド上に集めてどこからでも参照できるようにする仕組みや、生産のさまざまな情報をクラウド上に蓄積する仕組みなどを立ち上げており、今後は 「 XVLパイプライン 」 に visual BOM による 「 BOM の見える化 」 や IoT パイプラインを融合させ、同社のビジネスに新たな価値を与えていきたいとしている。

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