イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2017 講演レポート

2017年5月19日(金)東京会場、8月4日(金)名古屋会場の講演レポートを公開いたします。

事例紹介

東京会場 / 名古屋会場

XVLだからできるエレクトロニクスデザイン

株式会社図研

早乙女 幸一 様オートモーティブ&マシナリー事業部
取締役 事業部長

生産設備設計を劇的に進化させる「XVL Studio WR」

株式会社図研 オートモーティブ&マシナリー事業部 取締役事業部長 早乙女幸一氏によるセッション「XVLだからできるエレクトロニクスデザイン」では、同社とラティス・テクノロジーが共同開発した軽量・高速3D配線設計ツール「XVL Studio WR」および3Dプリント基板検証ツール「XVL Studio Z」の紹介が行われた。

XVL Studio WRは、XVLの3Dモデル上で生産設備等のケーブル配線の検討や設計を容易に行うことができるというもの。本製品の開発を思い立った背景について、早乙女氏は次のように説明する。

「弊社がお客様に対して行ったアンケート調査によると、大部分の企業では生産設備のケーブル配線設計にITツールを使わず、試作機上で実際にケーブルを這わせて検討を行っているとの結果が出た。こうした方法が、製品が複雑化・高度化した現在でも行われていることに驚いた」

本来、こうした課題を解決するには、メカの3D形状データと電気回路情報をうまく融合させて配線設計する必要があるが、現実には膨大なメカアセンブリを表示させるだけで長い時間を要したり、部門をまたいで容易に情報を集約・操作できるITツールがなく試作機を用いた実機検証をせざるを得なかった。そこで図研とラティス・テクノロジーが共同で開発に乗り出したのが、ケーブル配線のDR・コミュニケーション/設計ツールとしてのXVL Studio WRだ。

まず、メカ設計者が3D CAD上で設計したメカアセンブリのデータをXVLの3Dデータに変換し、XVL Studio WRに渡す。そして図研が提供する電気回路の配線用CADシステム「E3.series」が管理する電気接続情報を同じくXVL Studio WRに手渡す。すると大規模なメカアセンブリであってもXVLの軽量3D技術を活かして高速に生産設備全体を表示した上に、配置すべき配線用部品や結線情報を重ね合わせ、簡単な操作でケーブル配線設計が可能となる。

「これにより、試作機の完成を待つことなく正確な寸法を備えた配線部材の手配ができ、メカ・エレキ・生産技術のエンジニアによるDR等でより高品質な設備設計ができる。また、XVL Studioの製造工程出力の機能を使い、設備組み立て時の配線作業手順書を出力させることも可能だ」(早乙女氏)

3Dモデル上でのプリント基板の電気性能評価を可能にする「XVL Studio Z」

一方のXVL Studio Zは、プリント基板のXVL 3Dモデルを使って、単なる空間干渉だけでなく、電気性能検証を仮想環境上で行うことができるツール。

「図研のCAD製品を使って設計したプリント基板のレイアウト情報に電気情報を付加し、XVL Studio Zに渡してあげる。そして同じく、3D CADで設計した筐体の情報をXVL Studio Zに手渡す。これによって、XVL Studio Z上でエレキのPCBと筐体が、電気的な視点でどのような関係になっているかを、ハイブリッドで検証できるようになる」(早乙女氏)

具体的には、安全規格で規定される電位差毎の絶縁距離測定や、静電気の伝導経路の検証などが、XVL Studio上の仮想環境で検証できるようになる。実際に、電車車両用インバータを製造するとある企業では、XVL Studio Zを使って複雑化する絶縁距離測定の自動化を進めており、検証作業とレポート作成工数の削減と手戻り設計変更が減少したことにより製品設計全体にかかる時間を約10%短縮できたという。そのほかにも、精密機器や医療機器、複写機、アミューズメント機器など、さまざまな製品の3Dプリント基板の検証においてXVL Studio Zが適用可能だという。

「こうしたソリューションは、図研が持つ電気CAD製品だけでは到底実現できない領域であり、XVLの軽量3D技術との連携によって初めて可能になった。これからもラティス・テクノロジーさんとともに、より複雑化・高度化していくであろう『機電一体設計』を支援するツールを提供していきたいと考えている」(早乙女氏)

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2017
講演レポート


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