イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2019 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

パートナー講演

名古屋会場

「情報の共有の場」 を活用した生産改革(仮想工場)の中で実施する技術情報の共有促進と手順書電子化ツールの紹介

株式会社日立ハイテクソリューションズ
事業開発本部 ソフトウェアエンジニアリングセンター

センター長 小林 庸一 様

株式会社日立ハイテクソリューションズ 小林 庸一 様

XVL パイプラインによる 3D 全社活用に早くから取り組んできた日立ハイテクソリューションズ

株式会社日立ハイテクソリューションズ(ホームページ:https://www.hitachi-hightech.com/hsl/、以下 日立ハイテクソリューションズ)は、製造業向けの計装システム分野で広く知られる企業。近年では IoT やクラウド、テレビ会議といった ICT ソリューションも幅広い手掛ける。

同社は早くから 3D データの活用に取り組んでおり、設計工程で生成された 3D CAD のモデルを XVL に変換することで、設計開発以降の試作評価や製造、販売・サービス、さらには設備開発や工程検討に至るまで、あらゆる工程において XVL の 3D データを有効活用してきた。

そのような中、特に効果を発揮したのが、製造工程における 「ビジュアル作業手順書の作成」 だった。日立ハイテクソリューションズ 事業開発本部 ソフトウェアエンジニアリングセンター センター長 小林庸一氏は、次のように述べる。

「かつて弊社では、紙ベースの作業が多く残っており、作業効率の足を引っ張っていました。製造現場における作業手順書/指導書も例外ではなく、紙ベース(文字のみ)では内容が正確に伝わらないため、複雑な作業はいつまで経っても熟練工に頼り切っているのが実情でした。こうした状況を改善するために、XVL の 3D データを使ったビジュアル手順指示書作成ツールを開発しました」(小林氏)

3D のビジュアル手順指示書作成ツール 「Assembly-Work Manager」 を開発

具体的には、工程情報を記述した Excel シートや、具体的な作業手順を表現した XVL の 3D モデルや動画、静止画などをツールに登録すれば、後は HTML 形式の作業手順書/指導書がほぼ自動的に生成される。こうして作られた手順書は、Web ブラウザ上で参照できるほか、.NET で開発されたクライアントアプリケーション上でも参照できる。

ツールの画面上で、作業手順が 3D イメージや動画で分かりやすく表示されるため、熟練工でなくとも手順を直観的に把握できるようになる。また部品表などのデータも併せて参照できるほか、Excel や Power Point 形式で手順書を出力できるため、さまざまな用途に応用が可能だ。

当初は社内での利用を前提に開発されたこのツールだが、現在ではビジュアル手順指示書作成ツール 「Assembly-Work Manager」製品ページとして一般販売されている。

「Assembly-Work Manager のような仕組みを通じて、図面/技術情報を電子化してサプライヤーや完成品メーカー、工場などと広く共有することで、サプライチェーン全体でものづくりの情報を広く共有できる 『仮想工場』 が実現できるのではないかと考えています。また Assembly-Work Manager はビジュアル手順指示書だけでなく、メンテナンスマニュアルやパーツカタログ、教育マニュアルなど幅広い用途に適用可能です」(小林氏)

既に多くのもの作り企業が Assembly-Work Manager の導入効果を実感

Assembly-Work Manager は、既に多くのもの作り企業によって導入・活用されている。例えば、とある精密機器製造メーカーでは、Assembly-Work Manager を使って作成した電子作業手順書をピッキングシステムと連携させることで、作業者が正確かつ容易に部品を取り出せる仕組みを構築した。これによりピッキングにかかわる作業時間を大幅に減らすとともに、作業品質の向上も実現できたという。

また別の精密機器製造メーカーでは、Assembly-Work Manager を使って作業手順書を電子化した上で、MES と連動させることで、現場の作業品質の向上を実現した。さらに別のメーカーでは、電子化された作業手順書を単に現場で参照するだけでなく、作業実績をその場で入力できるようにしたことで、作業エビデンスの収集や品質チェックが可能になったという。

「弊社内でも、XVL をはじめとする 3D データをより有効活用する取り組みを進めています。例えば、地方の工場や海外拠点などと Assembly-Work Manager を通じて 3D 資産を共有することで、拠点間の対応のばらつきを解消したり、言語の違いを超えた技術ノウハウの共有などを実現したいと考えています」(小林氏)

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