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XVL Solution World 2008 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

ユーザー講演

製造現場における 3D データの活用

東京エレクトロンAT株式会社
生産品質センター

氏家 年美 様

3D CAD の設計以外の部署も含め、後工程を含めた全体の流れの中で 3D データを活用ることにより、3D のメリットを最大に活かすことができます。本プレゼンテーションでは、製造現場における XVL データの活用検討、展開についての事例をご紹介いただきました。

弊社では品質が高い製品を短納期・低コストで生み出すことを目的に、2003 年に 3D CAD を導入した。現在、開発設計の大部分は 3D 設計されており、DRや 解析、モックアップツールでの検証などバーチャルでの利用もかなり進んできている。

こうして設計部門で 3D の活用は拡大していったが、一方、設計以外の部署では 3D の活用が今一つ伸びていない現実があった。3D の恩恵を享受するには後工程を含めた全体の中でこそ活用していく必要がある。

そこで、製造現場における 3D の活用について検討を進めた。この時、注目したのが、軽量なデータで加工・展開が容易な XVL だった。特に XVL Web Master について、アセンブリ情報を Web 配信出来る点に大きなメリットを感じた。

製造では過去からの流れで、2D 組図で仕事をする文化が出来ている。XVL を使って、3D データを 2D 組図の代わりに活用することは出来ないだろうかと考えた。

我々は、現場で使いやすいように XVL Web Master のテンプレートをカスタマイズし、社内でより親しまれるよう 『 Creator of Assembly Procedure ( 以下、 CAP ) 』 システムと名を付けた。

しかし、この CAP システムを製造部門に見せたところ、当初その反応は否定的だった。今までの 2D 組図で不自由はないので3Dにする必要性を感じない。製造側が 3D のデータを作る手間があれば単純に工数が増加してしまうという。

どのような場面で、どのように 3D を活用すれば有効か? 製造としてどう使ったら効果が出るか、改めて一緒に議論をおこなった。その結果、組立作業では多くの紙資料を見ながら作業している。これらの資料を CAP システムを使って一つに集約すれば非常に使えるものになるのではないか? という提案が製造から出された。

この意見を元に、資料をどのように集約し、CAP システムをどう使っていくか議論を進め、CAP システムを 「 製造品質指示システム 」 として運用し、組立に関する全ての情報が得られるものにした。また、3D による視認性の向上、3D データを活用したチェックシートシステム、操作性・作業性を検討した。

こうして、実際に現場で活用できる CAP システムが出来上がった。まだ全製品に適用は出来ていないものの、現実のものとして現場で本運用が始まっている。CAP システムの効果として最も注目したところは、視認性の向上だ。他に作業性の向上、組立用資料準備工数の削減、紙の削減などの効果があげられる。

こうして、製造現場で 3D を活用していくための準備ができた。そして、組立現場に 3D を定着させることができた。今後は、完成度の高い 3D データを活用して、工順・工数・組立性などの検証を前倒しで実施、生産準備期間を短縮するといったことも行っていきたい。

このためにはツールの使いこなしとともに、技術部門と製造部門とのすり合わせがさらに重要になるだろう。そして、CAP システム活用範囲の拡大、他システムとの連携などによって、3D を活用したものづくり力を強化していきたい。

3D を活用する文化を東京エレクトロンの中に作っていきたいと考えている。

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