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SPECIAL 対談|トヨタシステムズ × ダッソー・システムズ × ラティス・テクノロジー

2021年9月7日

2021年
9月

XVL on 3DEXPERIENCE が実現する
製造業のデジタルトランスフォーメーション

製造業を取り巻く環境と働き方が大きく変化する中、フロントランナーであるトヨタ自動車株式会社と Dassault Systèmes(ダッソー・システムズ)は飽くなき挑戦を継続されています。その挑戦の一つである 『XVL on 3DEXPERIENCE®』 が、約 3年にわたるラティス・テクノロジー株式会社とダッソー・システムズの共同開発を経て製品化されます。

今回、このプロジェクトのキーマンである株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添浩史様、ダッソー・システムズ ENOVIA CEO の Stephane Declee様に、ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志(プロフィール)がリモート対談を行い、本プロジェクトへの想いをお聞きしました。

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様、ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様、ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

COVID-19 によって一変した世界と働き方

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:ラティス・テクノロジー株式会社(以下、ラティス)の鳥谷です。本日は錚々たる皆様にお時間をいただきありがとうございます。まず始めに自己紹介をお願いします。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:鳥谷さん、ありがとうございます。Dassault Systèmes(ダッソー・システムズ、以下 ダッソー) ENOVIA ブランドの CEO、Stephane DECLEE です。こうして川添さん、鳥谷さんとお話できることを大変うれしく光栄に思っています。
*ダッソー・システムズ|ウェブサイト

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:川添浩史と申します。株式会社トヨタシステムズ(以下、トヨタシステムズ)のエンジニアリング分野を担当させていただいています。30年以上この仕事に従事していて、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車)の CAD/CAM/CAE/PDM といったエンジニアリング系のツールにはほぼ全て携わりました。

特にダッソーとはかれこれ 25年間お付き合いをしております。本日こういった形で Stephane さん、鳥谷さんと対談をさせていただくことは非常にうれしいですし、有意義なディスカッションになることを期待しております。
*株式会社トヨタシステムズ|ウェブサイト

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:2020年以降、世界はコロナ禍で一変しました。まず Stephane さんにフランスでの COVID-19(新型コロナ)の状況をお聞きしたいのですが、フランスではワクチン接種が進んで感染者数も減っているようですね。社会はだいぶ元に戻りつつあるのでしょうか?

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:もちろんです。確かに COVID-19 はフランスでも生活様式を一変させ、ここ 1年半大きな影響を受けてきました。ワクチン接種は大きな希望で、良い結果を伴っていることも事実です。ビジネス面だけでなく、プライベート面、友人・家族との生活も早く元にもどることを期待しています。

ただやはり、コロナ後の社会はコロナ前と同じではないと考えています。変化を教訓として、新しい仕事のやり方を進めていく必要があると考えています。本日、この対談を通して、新しい仕事のやり方をサポートできればと思います。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:特にダッソーがリーダーシップをとる PLM 業界のターゲットである製造業全般において、COVID-19 後はどのように変わっていくと思いますか?

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:とても重要な質問ですね。アジリティ(素早さ)、レジリエンシー(柔軟さ・打たれ強さ)というキーワードが今後さらに重要性を増してくると思います。多くの製造業の企業でこのキーワードに沿って、どのように仕事をやり方を変えていけるのかを考えていらっしゃいます。

設計・製造の仕事のやり方が確実に変わってくるでしょうし、ますます 「人」 が重要になります。「人」 に対していかに適切な情報を提供し、人と人がどこにいてもコラボレーションできるような、そんな仕事のやり方の改革が必要になると考えています。これはリモートワークや場所を選ばず働くことにもつながります。これは当社ダッソーとお客様だけでなく、当社とパートナーにも言えることです。また設計・製造領域の新しい方策においては、クラウドがキーワードになってくるでしょう。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:クラウドという技術が製造業の遠隔地コラボレーションを促進する基盤になるということですね。これは、ダッソー、ラティスで取り組んでいるテーマでもありますね。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:そうです。トヨタ自動車、ラティスと取り組んでいるテーマでも、グローバルコラボレーションは非常に重要です。オンラインだけでなくオフラインのグローバルコラボレーションも重要です。それは、正しい情報を 3D データを軸としてお届けしていくことです。3D であれば様々なメンバーが直観的に誤解なく共通理解を持つことができます。このような 3D の側面は今後、必要不可欠と言えるほどに重要性が高まると考えます。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:Stephane さんとの協業は 3年前から始まったわけですが、この協業で実現したグローバルコラボレーションの必要性が、まさに COVID-19 によって加速したということですね。

オンラインで使う XVL on 3DEXPERIENCE の 3D データを XVL でオフライン活用できれば、正しい 3D データを利用してグローバルに協調して設計、製造、販売を進めていくことができるでしょう。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:まさにその通りです。

100年に一度の大変革期の自動車業界では何が起こっているのか?

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:それでは川添さん、COVID-19 は自動車業界にどのような影響を与えたでしょうか。

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:自動車業界という観点で見ると、もちろん COVID-19 は大きな話です。ただトヨタ自動車はその 4年前から 100年に一度の大変革の時期と呼び、CASE が登場し、車づくりそのものが大きな変化の中にあります。

半導体不足が自動車のサプライチェーンに影響を与えるなど様々な変化に直面しており、COVID-19 もそのような変化の中の一つととらえています。 中でも特に COVID-19 によって 「働き方」 が大きく変わりつつあり、トヨタ自動車だけでなく多くの企業で Work Style Innovation に取り組まれていると認識しています。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:トヨタ自動車の中では、COVID-19 前後で、具体的にどのように働き方改革が行われたのでしょうか?

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:例えばエンジニアの世界で言うと、様々な仕事をリアルワールドの中でやっていたのが COVID-19 前の働き方でした。自席で設計し、会議室で話をし、実験室に行ってシミュレーションや評価を行う、そして工場に出向いて設計したものを確認し、といったようにです。

昨今、在宅勤務や他のメンバーと直接会えない状況の中で、エンジニア自身が迷いながら、どうエンジニアリングを進めればよいのかを試行錯誤している状況だと認識しています。クラウドや VDI(仮想デスクトップ)によって、リモートワークの環境は整ってきていますが、リアルのものづくりにおいては実際のモノを見る、現場に行くということ抜きに進めることは考えられません。どうすればこういった活動を必要最小限にとどめながら、エンジニアが肌感覚で感じ、考え、共有して仕事を進められるのかを、非常にチャレンジングな課題ですがこれからも考え続けなければいけません。

もう一点、カーボンニュートラルも大きな項目です。クルマ自体もエンジンから電動化へ大きく舵を切っていかねばいけませんし、エコシステムの観点からも、もっと CO2 排出を減らすことを考えていかねばなりません。自動車業界は、これまで以上に様々な制約の中で生き残りをかけた戦いを続けなければなければならないという、厳しい状況だと認識しています。

3DEXPERIENCE というオープンな仕組みは製造業に何をもたらすのか?

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:これまでは、現地現物や直接会って行うすりあわせといった文化が日本の製造業、特にトヨタ自動車の強みだったと考えています。100年に一度の変革期にあって、その文化を最大限、デジタルでどう置き換えていくことができるかが、これからの重要なテーマになってくるでしょう。

それを実現するためにダッソーとともに開発してきたのが XVL on 3DEXPERIENCE です。Stephane さん、3DEXPERIENCE プラットフォーム はどういった課題を解決できるのか、教えていただけないでしょうか。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:COVID-19 の文脈の中で回答させていただきましょう。

まず 3DEXPERIENCE では複雑なモデルをバーチャルに表現することが可能になります。複雑な自動車や電気自動車をモデリングやシミュレーションすることができます。またバーチャルな表現ができたものを、実際のリアルなデータと接続させることができます。そうすると例えば、IoT によるデータと接続させることで工場で実際になにが起きているのか、を知ることができます。社内の様々な部門のメンバー、パートナー企業のメンバーとのコラボレーション強化を、日々の業務の中でサポートすることができます。

日々新しい課題が出てくる現場で、3DEXPERIENCE がどう活用されているか、2つ例を挙げましょう。一つは、工場・生産システムをバーチャルにモデリングすることで、COVID-19 収束後に従業員が工場に戻ってきたときを想定し、生産効率を落とすことなく人と人との距離をどのように適切に保つことができるかをシミュレーションしていただいています。もう一つは、自動車のエアコンの機能をシミュレーションいただいて、空気が常に循環する環境で安心して車に乗っていただいています。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:我々ラティスも、XVL という軽量 3D の技術でリアルな製品をデジタルで置き換える 「3D Digital Twin」(3D デジタルツイン)を実現すべく開発を続けてきました。3DEXPERIENCE はその 3D Digital Twin のプラットフォームとして非常に親和性の高いものだと感じています。特に 3DEXPERIENCE は、非常にオープンなアーキテクチャとなっていて、そのアーキテクチャ上で XVL の統合を進めてきました。なぜこのようなオープンなアーキテクチャとしたのか、その目的や背景を教えていただけないでしょうか。

XVL on 3DEXPERIENCE プラットフォーム
ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:簡単に言うと、我々のお客様は非常にたくさんのアプリケーション・システムを利用しています。3DEXPERIENCE のオープン性によって、プロセスの連携のみならず、シームレスな情報の流れを作るということを心掛けています。そんな中、今回、このアーキテクチャを利用してラティスと非常に密なアライアンスを組ませていただき、スムーズかつパワフルなソリューションが実現できました。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:我々も 3DEXPERIENCE とのインテグレーションを行ってみて、XVL と CATIA V5 のデータがほぼ同等に扱えるということに、とても驚きました。今回の XVL on 3DEXPERIENCE は、オープンな仕組みの上に開発したわけですが、その結果、常に最新の CATIA データに対応する XVL データが 3DEXPERIENCE 上に存在する、こういう状態をほぼリアルタイムに実現することができました。この結果、製品開発に携わる実に多くの人が XVL の軽量性を活用した業務を行うことができるようになったのです。

では、トヨタ自動車はこのオープンな仕組みを使ってどう変わろうとしているのか?

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:ところで川添さん、トヨタ自動車では世界に先駆けて XVL on 3DEXPERIENCE を導入して運用を開始されたわけですが、その目的・背景を教えていただけますか。

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:トヨタ自動車はお客様へ向けて、「良いものを、早く、そして適切な価格で提供する」 ことをモットーとしてクルマづくりを行っています。昨今の状況から、さらに早く、開発を加速化させなければなりません。

実現するためには、設計者個人だけでなく、同じ部署のメンバー、前工程/後工程のメンバー、関係するサプライヤ各社や他の OEM 企業といったある意味、物理的には別々の場所に存在するメンバーと、同時に同じものをあたかも隣にいるかのように扱い、業務を推進することができる仕組みが非常に大切です。その仕組みの実現のために、トヨタ自動車にとって 3DEXPERIENCE が重要な選択肢でした。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:3DEXPERIENCE がトヨタ自動車とサプライヤを結び付ける基盤となったということですね。もう少し、具体的に教えていただけないでしょうか。

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:具体的に言うと、これまで CAD のデータを授受するには、設計者が上司の承認を経て、それをネットワーク経由でサプライヤへ送信し、サプライヤは受信したデータを確認していました。

このプロセスは短くても 1、2日間、長いと 1週間という時間がかかっていました。 これを、3DEXPERIENCE を使うことによって、トヨタ自動車のエンジニアとサプライヤのエンジニアが、あたかも同じ場所で仕事をするかのように変化させました。

トヨタ自動車のエンジニアが新たな形状データを 3DEXPERIENCE に入れれば、即座にサプライヤのエンジニアも同じものを見ることができます。 これまででは考えられなかった新しい世界が 3DEXPERIENCE プラットフォーム を使って実現されトヨタ自動車やサプライヤの多くのエンジニアがその効果を実感しています。

取り組みの状況は、サプライヤ各社によってバラつきはありますが、3DEXPERIENCE プラットフォーム を使うことで、従来よりも大幅な効果が出ているという声もお聞きします。コミュニケーションの密度が上がり、より速く設計のマチュリティ(成熟度)が上がっている状況を経験しています。我々はもっと 3DEXPERIENCE プラットフォーム を使って働き方をさらに変えていき、より大きな効果を出すことを目指して邁進中です。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:冒頭に Stephane さんからアジリティ、レジリエンスというキーワードが出ていました。川添さんのお話からすると、トヨタグループにおいて、3DEXPERIENCE の導入によって、この迅速性や柔軟性が実現できているのですね。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:川添さんの大変力強い言葉に感銘を受けています。トヨタ自動車の目的の一つとして同席設計を実現したいというものがありましたが、まさにこの方向に向かって進んできていると感じています。

ダッソーが公式に認めた XVL フォーマット

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:トヨタ自動車では設計で CATIA が広く使われ、生技部門やサービスドキュメントでは XVL が広く使われています。この 2つが 3DEXPERIENCE 上で密に連携したことでトヨタ自動車でもさらにメリットがあるのではと考えますが、川添さん、いかがでしょうか。

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:これはトヨタ自動車に限らず、他の自動車メーカでも同じだと思いますが、まずコンテンツを作り上げるという技術的な役割と、それをうまく活用して部品・製品を作り上げるための多くの人が使える簡便な仕組みの両方が必要です。

トヨタ自動車では前者は CATIA を利用し、後者は XVL を中心に活用しています。技術部門が精緻なデータを作り上げ、生産準備の現場であったり工場であったりサプライヤであったり、IT 環境が十分でなくとも軽量なデータと簡便なツールで 3D を使いこなすことには非常に大きな意味がありますし、それによって 3D 活用の裾野が大きく広がってまいります。

特に日本の会社然としたラティスは、かゆいところに手が届くように、実際のプロセスにフィットしたアプリケーションを開発いただき、より効果が上がっております。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:今回 3D 検証/活用アプリケーションである XVL Studio がダイレクトに 3DEXPERIENCE とつながるようになり、最新の大規模設計データを使った検証も設計直後にできるようになりました。こういった開発ができたのも Stephane さんの開発チームのバックアップのおかげで、大変感謝しています。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:どういたしまして!一番大切なのは、お客様が成功し、お客様に満足してもらうことだと考えています。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:3DEXPERIENCE 上で XVL と正の CATIA データが 1:1 に存在する、XVL Studio と CATIA が同等に利用できることで、オンラインとオフラインの両方で正しい 3D データをグローバルに共有して仕事ができるようになりました。今回の提携の中で、XVL はダッソーがオーソライズしたフォーマットになりました。

社内の全ての人が 3D データにアクセスし、活用するためのプラットフォーム
ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:その通りです。強力なパートナーシップと多大なる努力の結果、技術的にベストなソリューション連携が実現したと思っています。XVL は 3DEXPERIENCE プラットフォーム 上のネイティブなフォーマットとして管理できますし、またユーザにとって使いやすく操作性にすぐれたものになるよう開発しています。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:ユーザ最優先(Customer First)の考えのもとで、この緊密な連携が実現できたということですね。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:それは、とても重要なことです!

そしてトヨタ自動車や川添さんに信頼していただいたことに、とても感謝申し上げたいと思います。あらゆるパートナーシップのベースには信頼があり、今回の私たちの強い信頼関係のもとに結果をだすことができました。今回開発したソリューションはトヨタ自動車だけでなく、多くの日本の製造業のお客様、そして世界中のお客様に使っていただけるソリューションになったと自負しています。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:川添さんへ質問ですが、XVL on 3DEXPERIENCE は今後トヨタ自動車でさらなる効果のためにどのように使い、どのように拡張したいとお考えでしょうか。

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:トヨタ自動車社内では XVL on 3DEXPERIENCE の新バージョンは 2021年 9月にリリースされることになります。

本日時点では我々の狙いについてコメントさせていただきます。まず、最初に信頼できるパートナーとして、Stephane さんのダッソー・システムズ、鳥谷さんのラティス・テクノロジー、この 2社と一緒になってこのプロジェクトを実現しえたということは非常に素晴らしいことです。お客様に寄り添って作り上げていただいたことにまずは感謝いたします。

トライアル利用の中でのユーザの感想を挙げると、これまでは XVL のデータを使いたい時に変換のプロセスを待つ必要がありました。新バージョンはそうではなく、即時に 3DEXPERIENCE 上の XVL にダイレクトにアクセスすることができます。設計や生準のメンバーは新たな利活用レベルになったと感じてくれています。一つの操作を減らす積み重ねや、設計者の考えを邪魔しないという点で、今回実現した即時性はとても重要なポイントです。

更にこれをどうやって利活用していくかは、今後さらにトヨタ自動車のエンジニアが考えていかなければならないことだと思います。9月の運用開始を楽しみにしています。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:冒頭に Stephane さんからグローバルコラボレーションというキーワードが出ていました。設計だけでなく、トヨタグループ全体でのコラボレーションが進むこと、これを XVL on 3DEXPERIENCE で支援していきたいと決意を新たにしました。

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:トヨタ自動車と関係サプライヤ各社間でデータをシェアする。そのデータはこれまでは CATIA であり DELMIA といったダッソーのアプリケーション群でした。そこに今回 XVL というラティスのシステムが 3DEXPERIENCE プラットフォーム に搭載され、ダッソーのフォーマットとあたかも同質性をもって扱えることが、今回のダッソー・ラティス協業の一番のメリットになるでしょう。

さらに強化される、国境を越えた強い信頼関係

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:日本企業を代表するトヨタ自動車で起こっている 3D による Digital Transformation、それを我々の協業が支えている。このことについて、Stephaneさん、どうお感じになりますか?

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:まさに我々はベストな状況にいます。パートナーシップは人であり信頼関係にあります。共通の目的に立って、信頼を構築し、コラボレーションすることが成功に欠かせない要因です。さらに今回、トヨタ自動車という大変要求レベルの高いお客様が私たちをドライブしていただいたことは、ベストな状況というほかありません。

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:いろいろと Stephane さんたちを苦しめるような要求が、トヨタ自動車からは出ているかもしれません。エンジニアリング領域での Digital Transformation いうことを考えると、それはユーザだけでは実現できることではなく、システムベンダーとのパートナーシップのなかで理解しあい、アイデアを出しあい、どのように新たなプロセスを構築し、それにフィットした良いシステムを作り上げていくかが必ずポイントになります。今回は、そのような観点で一つの成功事例になっていると感じています。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:まさにその通りだと思います。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:最高に厳しいユーザがいて、その要望を最高のパートナーシップで受け止める。その結果、最高に素晴らしいシステムが生み出されるのでしょう。

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:これからも競争は続いていきますので、そういった関係をより高めていかなければなりません。お互いに高めあえるパートナーが、ダッソー、ラティスだと認識しています。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:ありがとうございます。COVID-19 の環境下でもパートナーシップを強化することができたので、今後ワクチンが普及し COVID-19 が収束に向かえば、もっともっと強いパートナーシップが実現できると確信しています。

グローバルなパートナーシップはさらに発展する

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:Stephane さんに最後の質問です。今後の 3DEXPERIENCE はどのような方向に進んでいくのでしょうか。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:プラットフォームの一つの大きな狙いは、コラボレーションを拡張することです。これまでの設計領域だけでなく、製造領域、さらにプリセールスやアフターセールスといった領域でコラボレーションを拡張していきます。アジリティ、レジリエンスにおける成功事例を見ると、様々なメンバーをつなげて実現していて、スムーズな流れを作り上げることによって、コラボレーションと的確な意思決定が実現されています。

もう一つのキーワードとして、3D の裾野を広げるというということで、次のステップとしての使い方を考えていきたいですし、未来の働き方、手法を一緒に考えていければ、それが次の私たちの協業のドライバーとなると思います。

XVL on 3DEXPERIENCE が実現する製造業のデジタルトラスフォーメーション

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:当社ラティスは XVL VR や Web3D という切り口で、3DEXPERIENCE の価値をさらに上げていきたいと考えています。Stephane さんの 「3D の裾野を広げていく」 というビジョンの中で、当社に期待することは何でしょうか。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:まさに今現在行っている協業の延長線上にありますし、トヨタ自動車にご利用いただく中で見えてくるものだと思います。是非今後もこの協業を続けたいと思います。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:COVID-19 という非常に困難な状況下で、日本とフランスという国境を越えた連携で、新しいコラボレーションの基盤開発に成功し、それが日本を代表するトヨタ自動車のグローバルコラボレーションに貢献しつつあるということが伝わったのではないでしょうか。

最後にお二方に一言ずついただけるでしょうか。

ダッソー・システムズ ENOVIA CEO Stephane Declee 様

Stephane:今日たくさんの重要な話をさせていただきました。日々の仕事のやりかた、日々の生活において、我々の IT・3D の技術が大きく貢献できる、また変革をもたらすことができると考えています。働き方をよりよくしていけると思いますし、それが私たちのモチベーションでもあります。そのような価値をお客様に届け、お客様に組織として成功していただきたいと思います。

可能性は無限大です。今回の協業においてラティスとは密に協力させていただきました。またトヨタ自動車とは長年にわたる強固な関係を築かせていただいています。COVID-19 の状況下でなかなか日本に行けないのがもどかしいですが、近い将来、是非お二人とプロジェクトの成功を祝ってワインを傾けたいですね(笑)

株式会社トヨタシステムズ 取締役 川添 浩史 様

川添:Stephane さん、鳥谷さん、このような機会を設けていただき、ありがとうございます。お二人から、作り手としての力強いお言葉をいただけたことに、改めて感謝いたします。

ダッソーのようなグローバルなソフトウェアベンダーとお付き合いするときには、作ってもらうのではなく、他のお客様も汎用的に使うことができるよう要望を伝え、目的指向で進めていくことが重要だと考えています。今回の場合でも、ユーザが離れていてもあたかも隣に座っているかのように仕事を進める環境を提供する、という共通の目的に立ち、目的志向でプロダクトを作ることができたのが成功をもたらしました。トヨタニーズに加え、汎用ニーズにも目的指向で対応していって欲しいと思っています。

9月に XVL on 3DEXPERIENCE の 1st リリースがトヨタ自動車社内ならびに関係各社において行われます。そこで実際に利用することで、様々なフィードバックが上がってくるでしょう。そのフィードバックをもとに、Stephane さん、鳥谷さんとも話をさせていただいて、次のステップを考えていきたいと思います。今後とも、どうかよろしくお願いします。

ラティス・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 鳥谷 浩志

鳥谷:Stephane さんから、IT・3D による変革をモチベーションにしているという話がありました。私たちもトヨタ自動車におけるリアルコラボレーションを成功させるというモチベーションを実現して、そのソリューションを他のグローバルなお客様に展開できるよう、拡大していく覚悟です。

もう一つのモチベーションとして、川添さん、Stephane さんと一緒にワインを傾ける日が早くくることを願いつつ(笑)、締めとさせていただきます。本日は大変ありがとうございました。

END

・XVL、3D デジタルツイン はラティス・テクノロジー株式会社の登録商標です。
3DEXPERIENCE、Compass アイコン、3DS ロゴ、CATIA、BIOVIA、GEOVIA、SOLIDWORKS、3DVIA、ENOVIA、NETVIBES、MEDIDATA、CENTRIC PLM、3DEXCITE、SIMULIA、DELMIA および IFWE は、アメリカ合衆国、またはその他の国における、ダッソー・システムズ(ヴェルサイユ商業登記所に登記番号B 322 306 440 で登録された、フランスにおける欧州会社)またはその子会社の登録商標または商標です。
・その他記載されている会社名および製品名は各社の登録商標または商標です。

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