導入事例インタビュー
株式会社東海理化
現場の知恵と、情報システム部との強力なサポートで、3Dデータ活用を全社展開へ。
情報伝達の改革に取り組む自動車部品メーカー「東海理化」
※2007年のインタビュー記事となります。
XVL 適用分野と導入製品
適用分野
3D加工指示書、3D測定指示書、3D組立手順書、デザインレビュー、出図、各部との情報交換など
会社概要
東海理化について
創立 | 1948年8月30日 |
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本社 | 愛知県丹羽郡 |
資本金 | 228億円 (平成29年3月末現在) |
事業内容 | 自動車部品、エレクトロニクス応用製品、医療・計測機器の開発・製造・販売 |
主要得意先 | トヨタ自動車株式会社、ダイハツ工業株式会社、日野自動車株式会社など |
サイトURL | http://www.tokai-rika.co.jp/ |
XVL導入背景
金型部門におけるXVL導入背景
株式会社東海理化は、主に自動車部品の開発・製造・販売を行っている。自動車の製品ライフサイクルの短縮に伴い、自動車の部品を供給する東海理化も厳しい納期短縮を迫られた。金型の設計は、1990年代から3D化され、設計の効率化が図られたが、依然として、現場の作業指示は、2Dの図面をベースとして行われていた。
2D図面で運用を行っていた頃は、金型の図面が出図された後、現場で必要となる加工精度や加工工程の指示情報を、2D図面上に色を付けていた。2Dの図面だけでは形状を把握しづらい場合は、そのつど、設計に問い合わせをしなければならず、設計と製造の両方の工数を費やす作業となっていた。
そこで、誰もが簡単に操作ができる3Dビューワを現場に導入し、製造プロセス全体の効率化を目指して検討を開始した。面の色を簡単に変更できること、現場で必要な計測ができること、さまざまなCADのデータを扱えることの3点を必要な要件として、3Dビューワの検討をはじめた。これらを満たすビューワはいくつか候補があがったが、データサイズが非常に軽量であること、低いスペックのPCでも使えること、また、当時(2002年)試行導入・利用評価検討を実施していた情報システム部門の強い推薦が決め手となり、2003年、XVLの採用を決定した。
XVL活用事例
3Dを使った加工指示
XVLを導入する前は、型製作のための図面がすべて完成した後、金型製作部門に図面が渡っていた。図面を受け取った製作部門では、図面に色付けをして、必要な寸法、指示などを手作業で加えていた。2Dの図面では、形状が正確に把握できない部分があったが、そのつど、金型設計者に確認する作業が必要で、設計・製造の両方の工数を費やしていた。
XVLを導入すると、3Dデータで製作される入れ駒モデリングが完了した段階で、製作部門へデータを渡すことが可能となった。コンカレントに作業を進めることができるため、短納期化に貢献している。さらに、XVLは、誰もが簡単に3Dデータを回して見て、形状を正確に把握することができる。そのため、金型設計者への問い合わせの手間が省けるようになった。
金型設計部門では、CADで型の設計をする際に、CADデータ上で加工精度に応じた色分けをルールに準じて行っているこうしておくことで、XVLに変換したときに色がそのまま引き継がれるため、加工精度が誰でも一目で判断できるようになった。さらに、加工工程は、XVL Studio Basicを使って、型彫り放電加工、マシニング加工といった加工工程ごとに、加工する面上に工程ごとに決められた色をつけていく。(図:XVLによる加工指示)
こうして、加工精度と加工工程が3Dデータをみてすぐに理解できるようになった。
また、2D図面で指示を行っていた頃は、寸法などの記入漏れがあると、現場からクレームがあがった。しかし、XVLデータを採用すれば、加工部門に設置されたXVL Player ProまたはXVL Studio Basicを使って自由に寸法や角度を測定することができる。そのため、現在では、図面や指示書には細かな寸法は入れず、現場で必要な部分を自らが測定する運用方法に変わった。
このように、3Dデータを活用することで、加工指示書などの作成の手間を減らし、よりわかりやすく、効率的に情報伝達を行うことができるようになった。
動くNCプログラミング指示書
金型の加工工程設計を行う際には、「金型マイスター」と呼ばれるNCプログラムの達人が加工指示を詳細に決めてNCプログラミング指示書を作成する。その際に活躍するのがXVL Notebookである。XVL Notebookでは、XVLファイルを挿入し、そこで加工指示が必要な場所の画面ショットをとる。撮ったショット画像に対して、指示を注記や文章で加えることで、3Dデータと画像、注記などを使ったインタラクティブな指示書を作成することができる。
特に、加工箇所を拡大した画像を使って指示を行う場合、2Dだけでは全体のどの部分なのかが不明確な場合が出てくる。一方、XVL Notebookで作成した指示書では、加工箇所の画像をクリックすると、全体のどの部分なのかが3Dデータで把握できるようになり、また、自分の見たい方向から指示された箇所を確認することもできる。ちょうど、カーナビの詳細図と全体図のように連携して確認ができるため、NCプログラムの作成者に好評だ。
現在は、XVL Notebookで作成された指示書は、型設計データと同様、部内サーバ上で管理し、必要な人が必要なときに参照できるようになっている。こうして、金型マイスターの経験と知恵を、誰にでもわかりやすい形で共有することができるようになった。
現場の知恵からできた3D測定指示
金型製作の現場から、型の仕上げ部門へ測定箇所の指示を行う際、従来はポンチ絵を作成して測定箇所を説明していた。そのため、ポンチ絵を作成する工数がかかり、さらに指示書を見た側にも適切に指示が伝わらない場合があった。
これを変革したのは、現場の知恵だった。XVL Notebookの指示書が金型製作の現場で利用されるようになったことを受け、これを測定指示書に応用しようというアイディアが生まれた。測定箇所のイメージと3Dデータを連動させて見せることができるXVL Notebookならば、測定箇所を3Dとイメージで的確に伝えることができるようになる。これにより、仕上げ部門の担当者の理解度は向上し、ポンチ絵の作成工数を削減することができた。
東海理化の金型製作現場では、3Dデータの有効活用が積極的に進められ、金型設計の3D化と現場での3D利用が連動して進展している。
加工見積もりへの応用
加工の見積もりは、これまでは、2Dの図面から割り出した加工の見積もりだったため、加工時間を多めに見込んで見積もる必要があった。ところが、実際の加工時間が短くすんでしまうと、次の工程へ進むまでの待機時間ができてしまい、無駄が生じていた。ここに、XVLデータが利用されるようになると、加工面積や周長などの精度が上がり、加工範囲を正確に測定できるようになった。このため、加工時間の見積もりも正確になり、金型製作がこれまでよりずっと計画的に進められるようになった。
導入と活用まで
XVLが導入された当初は、一部の部門からは強い反対意見も出た。そこで、情報システム部と協力して、3Dモデルを工程に流すことが金型製作のリードタイム短縮の目標達成のために必要であることや、XVL導入による効果を丁寧に一生懸命説明し、理解を得ていった。また、現場のキーマンの協力や上層部の積極的アプローチなどが後押しし、展開活動は順調に進んだ。そして、自主的に操作マニュアルを作成する現場も出てきた。
XVL製品群は、これらのデータを受け取る工場の現場に設置された既存の事務向けの低スペックのマシンでも十分に活用することができる。そのため、スペック不足で有効活用できていなかったマシンを再活用し、新規にマシンを購入する際も安価なものを選択することができた。こうして、インフラの整備にかかるコストが全体的に抑えることができた。
XVL今後の展開
組み付け工程のデザインレビュー
XVL製品群は、これらのデータを受け取る工場の現場に設置された既存の事務向けの低スペックのマシンでも十分に活用することができる。そのため、スペック不足で有効活用できていなかったマシンを再活用し、新規にマシンを購入する際も安価なものを選択することができた。こうして、インフラの整備にかかるコストが全体的に抑えることができた。
さらなる3Dデータ活用の展開へ
こうして、XVL活用による効果が見えるにつれて、金型部門以外にも徐々にXVL利用部署の拡大活動を情報システム部で続けてきた。東海理化では、全社規模での3Dデータ活用をさらに推進していくことを決め、2006年10月から、情報システム部が進行・まとめ役となって、ビューワ展開ワーキンググループを発足させた。ワーキングは、月に一度、各部のリーダーが集まり、活発な活動を行っている。各部の3D活用のためのテーマを決め、それぞれが展開状況を報告している。また、各部が順番で適用事例または適用状況をワーキング内で報告することで、今までXVLを活用していた部署、そうでない部署で情報を共有することができ、また各部の利用推進活動の動力にもなっている。
現在では誰もが抵抗なく利用するワープロソフトや表計算ソフトのように、XVLを何も考えずに使ってもらえるようになることが目標だ。「3Dはかっこいい」というイメージがあるうちは、まだその域には達しない。3Dデータの利用はあたりまえであると認識してもらえるよう、裾野を広げるための活動を地道に展開している。
一方で情報システム部では、ワーキングの運営はもちろんのこと、XVL関連ソフトの操作マニュアル、各部の事例集、ワーキンググループの議事録、活用のヒントなどを全社員が閲覧できるWEB上に配信するなど、少しでも多くの人にXVLを触れてもらい興味をもってもらえるように、また少しでもXVLを有効に活用できるような運用を行っている。また、XVLの活用が進むにつれ、利用ユーザの機能要望も続々と増えているが、これはXVLを積極的に利用して業務改善に取り組んでいる証拠であるといえる。
これから取り組むべきは、3Dデータとそれに付随する情報の配信をXVL Web Masterを使い、さらに分かりやすく、かつ効率化すること、そして、仕入先へのXVLデータの展開である。今日も東海理化では、積極的なビューワ展開活動と3Dデータ活用による業務の改善が着々と進んでいる。
導入製品
(一部リリースが終了した製品がございます)
XVL Studio Basic
XVL Studio Standard
XVL Web Master
XVL Player Pro
XVL Converter Light
XVL Notebook Standard ※
※この印の製品については、現在販売を終了しています。
株式会社 東海理化